アルミ圧延品輸入量、円安でも高水準続く。国内品の加工賃上昇で割安感
円安局面が続いているものの、アルミ圧延品の輸入量は高止まりしている。海外材の品質向上に加え、国内材も圧延メーカーの加工賃改定などにより価格が上昇。結果として円安でも割安な海外材が一定のシェアを確保するに至っている。 アルミ圧延品(板・押出・箔合計)の輸入量は2019年に初めて25万トンを超えた。その後はコロナ禍による物流混乱などもあり一時減少したが、21年と22年には25万トン台ながらも過去最高を2年連続で更新。23年は23万6千トンに減少したが、依然として高止まりしている。 輸入量は23万~26万トンの約10%のレンジで推移しているが、輸入単価の変動は激しい。19年にキロ514円(1ドル=109・0円)だった輸入単価は、過去最高量だった22年(同131・4円)には723・7円まで上昇。23年(同140・6円)も717・1円で、19年から4割以上も値上がりしている。 価格競争力が低下しているかに見える海外材だが、依然として一定のシェアを保っている。この状況について中国のアルミ板メーカーからは「円安が進んだため以前よりも割高な価格になっている。しかし日本のアルミ圧延メーカーはこの数年、毎年のように加工賃を改定している。国内材も海外材も価格が上がる中で、結果として我々の製品も競争力がある価格になっている」という指摘が聞かれる。 為替の動向をみると日本銀行のマイナス金利の解除が決まったものの円安が継続している。しかしながら今後の金融政策により円高方向に振れることになれば、海外材の価格競争力は一段と増すことになる。また輸入材で高いシェアを持つ中国が景気減速局面に入った。中国国内で消費できなくなった製品が国外にあふれ出てくる可能性もある。