佐々木朗希争奪戦マネー確保へ パドレス、カブスが中南米アマ選手の内定取り消し情報
ポスティングシステムでのMLB移籍を目指す佐々木朗希投手(23)を巡り、メジャー球団側の水面下での動きが激しさを増している。MLB機構トップの号令により、怪物右腕との交渉は来年1月15日(日本時間16日)以降。“大争奪戦”の開始を前に本気で獲得を目指す球団は限られた予算内で資金を捻出するため、基本合意していた選手との契約をほごにするなど「朗希マネー」の確保に躍起になっているという。 佐々木争奪戦の一大転機となったのは、MLB機構のロブ・マンフレッド・コミッショナー(66)による「鶴の一声」だった。23歳の佐々木は25歳未満の外国人選手としてマイナー契約しか結べず、各球団は毎年割り当てられる「国際ボーナスプール」の中で契約を結ぶ必要がある。 ただ、同コミッショナーは佐々木に対して例外措置を取り、今年の残り分だけでなく2025年分のプール金まで拡大するように“通達”。来年1月15日(同16日)から25年枠に入るため、各球団ともおおむね500万~750万ドル(約7億5000万~11億2500万円)程度を使えるようになる。MLB公式サイトも来年分のプール金の最大はマリナーズなど8球団の「755万ドル(約11億3250万円)」と伝えている。 となれば、この8球団が佐々木の獲得レースでは優位に映るが、米球界関係者の話では事情はもう少し複雑だ。 公表されたプール金額について「ほとんどの球団が、中南米など日本以外の地域の有力選手を獲得するため、25年分の予算も前倒しで使い込んでいる。だから、実際のところは多くの球団がそんなには持っていない。今は前倒しで使った分を“取り戻す”動きが出ている」と打ち明ける。 予算を奪還するために球団側は実際に何をするのか。それは想定された25年分の予算を使い、入団合意に達していた約束を一方的にほごにすることだ。かなり手荒な手段ではあるが「パドレスやカブスが、獲得が内定していた中南米のアマチュア選手との合意を取りやめた」との情報も飛び交っているという。 そんなことをすれば訴訟に発展しかねないが、こうした事例は契約書にサインする前段階。正式には契約を結んでいないため、球団側が訴えられる可能性は低いという。もちろん、築き上げてきた信頼関係が崩れ、球界内に悪評が立つことも十分考えられる。来年以降の選手獲得などにも暗い影を落とすリスクもあるが、それを差し引いても“朗希資金”を確保することを最優先にしているというわけだ。 もっとも、使い込んでしまった予算を回復させたところで佐々木の獲得が確定するわけではない。こうした水面下での目まぐるしい動きは、開戦ゴングが打ち鳴らされた瞬間に手を挙げるための下準備。それだけ日本が誇る至宝獲りに本気ということだろう。 先月中旬に行われたロッテのファン感謝イベントで「アメリカで頑張ってきます」と旅立ちを宣言した右腕。移籍先については米メディアの間でドジャースが本命視されるが、パドレスなどの有力候補も入れ代わり立ち代わり浮上している。 果たして佐々木の新天地はどこになるのか。交渉開始はまだ1か月以上も先の話だが、非情ともいえる資金繰りにまで着手し、開戦の時を待っている。
東スポWEB