寺地拳四朗、異様なムードも気にせず試合後「カネロいましたね。会いたいなぁ」ボクシング 7大世界戦+那須川天心
◇13日 ボクシング 7大世界戦+那須川天心 第1日(東京・有明アリーナ) 前WBA、WBCライトフライ級王者の寺地拳四朗(32)=BMB=がWBCフライ級王座決定戦で元同級王者のクリストファー・ロサレス(ニカラグア)に11回TKO勝ち。日本人選手ではWBCバンタム級王者・中谷潤人(M・T)以来となる2階級制覇を達成した。寺地の戦績は25戦24勝(15KO)1敗。 鮮血が猛攻の証拠だった。寺地がジャブを起点に猛打を重ねて迎えた11回。ゴングの直後に試合が止まった。ロサレスの胸には鼻からしたたり落ちた血。ドクターチェックが入り、レフェリーが試合を止めた。TKOでフライ級での初陣を制した寺地が2階級制覇を達成した。 「鼻血が結構出ていて折れてるのも分かっていた。メンタルを削れたのかなというのはありました」 「たった」で「されど」の1・9キロで真の拳四朗の姿を解き放った。前戦まで主戦場にしてきたライトフライ級は、減量苦がつきまとった。調整していく中で、ベストの動きを見せるのは55~56キロ。しかし、リミット48・9キロの同級ではリカバリーで戻すには負担が大きかった。ベストでない状態で、階級の看板を守り続けてきた。 リカバリーは5キロ。ベスト体重で「ジャブが良かったと思うし、ワンツーも練習していたのが出せたのいいところ」。相手が16センチ上回るリーチ差を問題にせず、流れをつかんでダメージを与え続けた。 スターも黙らせた。的陣営は、ロサレスと同じトレーナーに師事する世界3団体統一スーパーミドル級王者の「カネロ」ことサウル・アルバレス(メキシコ)が、リングイン。試合中は客席の最前列に陣取った。そんな異様なムードも気にせず試合後は「カネロいましたね。会いたいなぁ」と笑顔だった。 ライトフライ級で果たせなかった主要4団体統一へ最高のスタートを切ったが、満足はしない。連続でワンツーをもらった場面を反省しつつ、ファンには「新しい、第二の拳四朗を見せる」と約束。フライ級にフィットするスタイルは模索中。32歳がさらなる進化で、統一ロードを突っ走る。
中日スポーツ