中国「秘密警察」が日本人にも接触。日本のカルト教団なども監視か
秘密警察が警戒する中国政府がカルト指定する宗教団体
接触してくる中国公安を名乗る人物からは、業界情報、日本人・中国人の知人について。さらには、中国政府が名指しで邪教(カルト)認定する特定の新興宗教の活動実態なども聞かれているようだ。 中国政府は、官製の反邪教協会を通して、日本や韓国の特定の宗教への警戒を国民へ繰り返し呼びかけている。 中国では、認められた宗教施設内に限り宗教活動ができる。 宗教活動が公認されているのは、カトリック、プロテスタント、イスラム教、仏教、道教の5つの宗教・宗派に限られる。 これら以外、つまり、日本で新興宗教と呼ばれる宗教は原則禁教となる。その中でも、反邪教協会がカルトとして名指しする新興宗教は、中国政府による取り締まり対象、拘束理由とされるとみて良い。 日本で暗躍する秘密警察は、中国政府が名指しするカルト教団についても調べていることがわかってきたわけだ。
メインの活動は、在日中国人の監視
東京だけでも複数の拠点があると推察される中国の秘密警察。もっともメインの活動は、在日中国人の監視だろう。 東京在住の中国人たちと話をしていると、こんな話も耳にする。 「靖国神社へ行ってみたいです。本当に中国政府が言っているような場所か自分の目で確かめてみたいんですよね」 という中国人男性がいたので、いつでも案内できると伝えると、怖くて行けないと言う男性。 その理由は、東京・九段下には、中国公安の施設があって常時監視しているから。万が一、映像とかに映り込んでしまったら、中国にいる家族や友人たちが危ないと心配する。 同じような話を別の中国人実業家からも聞いた。 靖国神社境内にある監視カメラのうち数台は、中国政府が設置したもので、監視していると。 もちろん、これらはうわさに過ぎない。 しかし、彼らはそのうわさを信じて行動を制御していた。直接命じたわけではないが、空気を察して従うという「反射統制」というやつだ。 もしかすると、中国当局が意図的にそのようなうわさを流布させて、反射統制に利用している可能性も考えられる。 東京近郊で会社を経営する経営者なら、誰もが訪れる機会があるであろう東京法務局は、靖国神社のすぐ近くにある。 ある中国人経営者は、「中国政府に勘違いされたら嫌だから」と、遠回りしたり、タクシーで乗り付けたりして、うわさの監視を警戒している。 日本へ移住した中国人も色々と大変そうだ。 <取材・文・写真/我妻伊都 X ID:@ito_wagatsuma> 【我妻伊都】 東京生まれ。20代後半に駐在として中国へ。駐在、現地採用、留学生を経てフリーに。2011年編集者、ライターデビュー。現在は、13年ほどの拠点にした中国から日本へ移し活動中。中国を除けば渡タイ回数が一番多い。掲載メディアは『ハーバー・ビジネス・オンライン』、『日刊SPA!』、『グローバルニュースアジア』、『日本と中国』、『週刊SPA!』、『別冊SPA!』、『ニューズウィーク日本語版』、『ローリングストーンジャパン』、『G-Diary』、『俺の旅』など。その他、日中関連の媒体、研究団体機関紙。twitter:@ito_wagatsuma
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