トルコ人初・カンヌ最優秀女優賞『二つの季節しかない村』予告編&場面写真解禁
第76回カンヌ国際映画祭でトルコ人初の最優秀女優賞を受賞したヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督最新作『二つの季節しかない村』より、予告編と場面写真5点が解禁された。 【動画】圧倒的な景観美と人間の卑小さが際立つ『二つの季節しかない村』予告 パルムドール、2度のグランプリ、監督賞など、カンヌ国際映画祭をにぎわせ続けてきたヌリ・ビルゲ・ジェイラン。本作は出演するメルヴェ・ディズダルにトルコ人初のカンヌ国際映画祭最優秀女優賞をもたらした。さらに、第96回アカデミー賞国際長編映画賞トルコ代表に選出されたほか、第29回リュミエール賞最優秀国際共同製作賞を受賞するなど、数々の賞を獲得した。 美術教師のサメットは、冬が長く雪深いトルコ東部のこの村を忌み嫌っているが、村人たちからは尊敬され、女生徒セヴィムにも慕われている。しかし、ある日、同僚のケナンと共に、セヴィムらに虚偽の“不適切な接触”を告発される。同じ頃、美しい義足の英語教師ヌライと知り合い…。 プライド高く、ひとりよがりで、屁理屈を並べ、周囲を見下す、“まったく愛せない”のに“他人事と思えない”主人公サメット。辺境の地でくすぶる男は、雪解けとともに現れた枯れ草に何を見つけ出すのか―。 音さえ吸い込んでいく雪深い景色の圧巻の美しさと、標高2150mにある世界遺産ネムルトダーの夏の雄大さ。人間の悲しいほどの卑小さ。ジェイラン監督は、この荘厳な自然の大きさと、自我に縛られた人間の小ささを大胆に対比させる。息もつかせぬ言い合い、視線に現れる感情の揺らぎ。これまで同様、ドストエフスキー、チェーホフら世界の文豪作品に加え、太宰治らの私小説を思わせる感情の機微を圧倒的な演出力で描き出す。 予告編は、見渡す限りの銀世界の中、1人の少女が物憂げに遠くを見つめているシーンから始まる。辺境の地で美術教師をしているサメットは都会への転任を待ち望んでいる。美しい義足の英語教師ヌライと出会うが、ヌライは同僚のケナンに心を寄せているようだ。何もない土地を忌み嫌いながらも単調な日々を送っていたサメットだったが、自分を慕っていた女子生徒セヴィムらに虚偽の“不適切な接触”を告発され、日常が一変する。 一目置いていたセヴィムに裏切られ、怒りを隠しきれないサメットがとった行動とは? 不敵な目で見つめてくるセヴィムの思惑とは。冬は辺り一面の雪景色が広がり、夏は緑が揺れ爽やかな風がそよぐトルコ東部の小さな村。2つの表情を見せる美しい土地で、思わぬ窮地に立たされたサメットに雪解けの時は訪れるのか? 終盤で「あなたは何もかもこの土地のせいにしてる。すべきことをせず逃げているだけ」というセリフが印象的に響き、ラストは「春は来ない」というナレーションで締めくくられ、不穏な雲行きを予感させる予告編となっている。 場面写真は、サメットが、夏の爽やかな風景を前に一人佇む姿や、同僚と一緒にネムルトダー遺跡を訪れ3人仲良く写真を撮る姿などが写し出されたもの。雄大な自然の中で生み出される重厚な人間ドラマに期待が高まる。 映画『二つの季節しかない村』は、10月11日より全国順次公開。