再審法の改正、党派超え関心広がる 議連参加の国会議員、90人増え220人超に
再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正議論が国会で動き始めた。自民党は22日の衆院予算委員会で法改正の必要性を訴え、岸田文雄首相らが応じた。先月発足した超党派の議員連盟の参加議員も当初から約90人増えて220人を超え、広がりを見せている。日弁連関係者は法改正の機運の高まりに期待を寄せる。 【写真】最高裁判所 「人間は完全ではない、誤りはあり得る」。予算委で質問に立ったのは議連事務局長を務める自民の井出庸生氏。証拠開示や審理の進め方に関する規定がないために、冤罪(えんざい)被害からの救済である再審の手続きに数十年単位の時間がかかっていることを問題視した。小泉龍司法相は「私の責任でしっかりと(原因を)突き止めていく」と述べた。 首相は井出氏の「誤り」の指摘を「その通りだ」とした上で、法改正について「慎重に検討すべき課題だが、法務省において適切に対応するものであると認識している」と答弁した。 政府は、三審制で確定した判決が容易に覆れば法的安定性が損なわれるなどとして法改正には否定的で、自民議員が国会で法改正を求めるのは「これまではあまりなかった」(日弁連関係者)。今年は、1966年に静岡県で一家4人が殺害された袴田事件の再審について判決が出ると目されており、再審への関心は高まる。 議連は麻生太郎自民副総裁や与野党党首が名を連ね、半数を自民が占める。日弁連再審法改正実現本部本部長代行の鴨志田祐美弁護士は議論の盛り上がりを歓迎しつつ「この好機を逃せば数十年遠のく。政治主導で早期に法改正すべきだ」と注文を付けた。 (高田佳典)
西日本新聞