【中日】高橋宏斗の言葉に救われ 清水達也は思い切り腕を振ることができる
各球団の担当記者が取材秘話をつづるリレーコラムの今回は中日の「りゅうほーち」。チームは借金4の4位と苦しみながらも、首位・広島に4・5ゲーム差と何とか食らいついている。リリーフの勝ちパターンを担う清水達也投手(24)と高橋宏斗投手(21)の絆に、担当の森下知玲記者が迫った。 いつも通りの練習風景の中に、2人の厚い信頼関係を垣間見た。5月22日の巨人戦(東京D)の試合前練習中、靴ひもを結ぶ清水に歩み寄り、背中をさすったのは高橋宏だった。 「勝ちを消してしまったのが、申し訳なくて。宏斗は『たっちゃん(清水の愛称)、なんも悪くないよ~。あんな悪い内容で勝てると思ってない』って言ってくれた。でも、そこを抑えるのが僕らの仕事なので」 前日(21日)の同カードで清水は1―0の7回に登板したが、同点に追いつかれ、6回無失点だった高橋宏の2勝目をふいにした。心を痛めていたが、5安打、4四球と自らの投球内容を反省していた3歳下の後輩右腕の言葉に救われた。 リベンジの時はすぐに来た。1週間後の同28日の西武戦(バンテリンD)。高橋宏が8回1死一、二塁のピンチを招いて降板するも、清水が二ゴロ併殺打で反撃を断った。一塁ベンチで喜ぶ高橋宏の姿に頬が緩んだ。「出迎えてくれたときに、助けられてよかったなって。(モチベーションは)それの積み重ねです」と汗を拭った。 抑えて当たり前、負ければ、戦犯として見られることもある。リリーフに定着した2年前、シーズン初失点し、先発につくはずの白星が自らについた夜は眠れず「マウンドに上がりたくない」と思った時もあった。 「中継ぎって残酷ですよね。でもやられても、すぐにやり返せるチャンスがあるのがリリーフ」。ピンチでマウンドに送られる投手こそ、信頼の証。「中継ぎにとっては50試合登板が規定投球回みたいなもの。50試合登板と、防御率1点台を目標にやっていきたい」。2年連続最下位からの脱却を図るチームのため、清水は懸命に腕を振る。(森下 知玲)
報知新聞社