「教員免許を取って野球部を指導するのがゴールではない」早大大学院博士課程に合格!浦和学院・森大監督が心理学研究に打ち込む理由
博士課程受験の理由は「生徒の気質の変化」
プロ選手を輩出し、2022年のセンバツではベスト4、昨夏も甲子園出場と順調に結果を残していた森監督。さらに博士課程に進もうと決めたのは、選手の気質の変化を感じたからだ。 「コロナ禍の影響もあって、仲間との共同作業、集団行動が苦手な子が増えてきましたね。だから今は強いチーム、組織を作っていくのが、より複雑化しています。 これまでの経験を生かした指導だけでは苦労することがありました。 これは私たちのチームだけではなくて、他校の指導者の方も感じていることです。練習試合などで話を聞くと『どうすればいいの?』という声が多かったですね。ほかの指導者の方たちにも参考になる知識を得たいと思い、博士課程を受験しようと決めました」 とはいえ、森監督は野球部の指導にあたりながら、社会科の教員として3、4クラスの授業も受け持っている。多忙なスケジュールの中での博士課程受験だった。 「まさに分単位という感じで動いていますね(笑)。 こうやって勉強ができているのは、コーチの方々の支えが間違いなく大きいです」 こうして倍率が高いハードルを乗り越えて博士課程に合格した森監督。猛勉強に加えて、森監督を献身的に支えたコーチ陣との連携も、合格の一因だった。
保護者もより安心できるチーム作りを
現在の森監督の指導は現代的で、組織マネジメントも卓抜しているが、その基礎は20代のときに培った大学院での研究だという。 「20代の経験は本当に大きかったです。『教員免許を取得して、野球の指導をする』ことをゴールにするのではなく、『教員になってからもより専門的な知識を身につける』ことが必要だと思っています。 それでも30代になった今、新たな課題が見つかって、勉強し直しすることになりました。ずっと指導者としての「学び」は必要だと思います」 さらに森監督は、国家資格である公認心理師の試験を受験する予定だ。 「受かるかは分かりませんが、常に「挑戦」をして得た知識を高校野球の現場に反映させていきたい思いで受験します。また、国家資格を取ることで、保護者への安心にもつながると思っています」 全国制覇を目指す浦和学院野球部の監督を兼ねながら「適切な指導のあり方」を研究する森監督の挑戦に注目だ。