イスラエルの国旗

イスラエルが親ヒズボラ志向のレバノン報道機関の建物を爆撃した。また、アラブ圏メディアであるアルジャジーラの記者６人がパレスチナ武装組織ハマスの隊員だと発表した。戦争が長期化する中で、敵対的あるいは非友好的なメディアに対する攻撃と批判を強化している。 イスラエルは２３日（現地時間）、レバノンの放送局アル・マヤディーンの建物に対する空爆を行った。普段、イスラエルはレバノン一帯を空襲する時には避難警告を出しているが、今回は避難警告を発令しなかった。アル・マヤディーンは親ヒズボラメディアで、イスラエルは昨年１１月「イスラエルの安保を害して敵を助けている」という理由でアル・マヤディーンの公式サイト接続を遮断したことがある。 イスラエルはまた、この日カタール・ドーハに本社を置くアラブ圏の放送局「アルジャジーラ」所属の記者６人がハマス隊員だったと公式発表した。イスラエルはガザ地区で確保した文書があるとしながら、彼らがチーム指揮官や狙撃手などとして活動していると主張した。文書にはハマス隊員の名簿や電話番号、給与などが含まれている。イスラエルはこれに対して「ハマスのテロリストがアルジャジーラとつながっているという証拠」と話した。 アルジャジーラはこれに対して「根拠のない主張」としながら「（イスラエルが）ジャーナリストを沈黙させて戦争の苛酷な現実を覆い隠そうとしている」と反論した。アルジャジーラはこれまでガザ地区に残って戦争の惨状を報道した。イスラエルはカタールがハマスに捕えられた人質釈放のために仲裁者役を果たしているという理由でアルジャジーラにやや融和的な態度を取っていたが、最近になって立場に変化を見せている。 １月のガザ地区空襲で死亡したアルジャジーラ所属記者を「テロリスト」と指し示したり、５月にはイスラエル内のアルジャジーラ事務所の閉鎖を命令したり、さらに先月にはヨルダン川西岸ラマラにあるアルジャジーラ支局を急襲して４５日間閉鎖命令を下した。 イスラエルはヒズボラのドローン能力に対する打撃も併行している。イスラエル国防軍はヒズボラ第１２７部隊指揮センター３カ所を空爆し、これに伴って主要幹部が死亡したと２３日、明らかにした。第１２７航空部隊は自爆用または情報収集用ドローンを開発して発射する部隊だ。 イスラエルは厳重な防空網を備えていることで定評があるが、昨年１０月戦争勃発以降、低速・低空飛行するドローンに弱点を露出した。ヒズボラが主に活用するイラン製ドローンは金属ではなく炭素繊維素材を使っているため、低速飛行して熱放出が少ないためレーダーに捕えにくい。このため１９日にはヒズボラが飛ばしたドローン１機がイスラエル国防軍のレーダー追跡を突破して海岸都市カイサリアのベンヤミン・ネタニヤフ首相の自宅で爆発した。 イスラエルがガザ地区、レバノン、シリア、イランに戦線を広げていき「第５次中東戦争」の可能性も懸念されている状況で、中東の勢力バランスが微妙に変化している様子も捉えられている。サウジアラビアとイランが紅海で合同軍事訓練をする方案を協議中だとイラン半官営ＩＳＮＡ通信が２３日に報道したのが一例だ。サウジとイランはそれぞれスンニ派とシーア派を代表する国で、中東覇権をめぐって葛藤を深めて２０１６年には断交をした。だが、昨年中国の仲裁で外交関係を正常化した後、イスラエルと中東葛藤局面で急激に対話の回数を増やしている。 これに関連して米国のトニー・ブリンケン国務長官は２３日、イスラエル・テルアビブのベングリオン国際空港で、取材陣に「イスラエルがこれ以上大きな緊張を作らず、葛藤を深める危険がないやり方で対応することも重要だ」とし、イスラエルの自制と終戦交渉への参加を強調した。