愛媛県宇和島市の岩松川に迷い込んだジンベエザメ死ぬ 海遊館が展示後に放流した「海(かい)」と特定
宇和島市津島地域を流れる岩松川で見つかったジンベエザメとみられる大型の魚が6日、河口付近で死んでいるのが確認された。大阪市の水族館「海遊館」の職員が現地を訪れ、模様などの特徴から、同館での展示を経て生態調査のため10月上旬に高知県土佐清水市沖に放流した雄のジンベエザメ「海(かい)」(推定年齢9~10歳、体長5・9メートル、体重約1・5トン)と特定した。 同館によると、海は2019年に高知県室戸市沖で定置網にかかり、以降約5年間、同館で展示。生態解明のため先月3日、回遊経路などを約1カ月間記録する装置を付けて放流した。 5日から河口近くに現れ近隣住民の目撃情報が相次いでいたが、翌朝、川に架かる宇和島道路の西約200メートルの川の中ほどで動かなくなっているのを宇和島市がドローンで上空から確認。同館職員が川に入り、装置の装着跡や模様の特徴から海と特定した。 心配していた多くの住民が見守る中、6日午後に引き揚げ作業が行われ、ウエットスーツ姿の同館職員が海の死骸をブルーシートで覆って岸近くまで運び、クレーンでつり上げてトラックに乗せた。土佐清水市の同館付属施設・海洋生物研究所以布利センターに持ち帰り、死因などを調べる。 同館広報・宣伝チームの田井康之さん(54)は、ジンベエザメは沖合を泳ぎ河口付近に来ることは少ないため「迷い込んだとしか考えられない」との見方を示し、塩分の薄い汽水域は厳しい環境だった可能性に言及。ジンベエザメの生態は謎が多く「海君から教えてもらいたかった。死を無駄にせず、今後の研究に役立てたい」と話していた。 (阪和舞、木俵寛太)
愛媛新聞社