【イベントレポート】黒沢清のアジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞受賞をポン・ジュノ&濱口竜介が祝福
アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞を受賞した黒沢清が、本日10月2日、韓国・釜山で開催されている第29回釜山国際映画祭にて授賞式に登壇した。アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞は同映画祭がその年のアジア映画産業に大きく貢献した人物を表彰するもの。過去に鈴木清順、若松孝二、是枝裕和、坂本龍一らが受賞してきた。 【写真】ポン・ジュノのメッセージビデオが上映される様子 セレモニーがスタートすると、ポン・ジュノと濱口竜介からのサプライズメッセージビデオが上映された。ポン・ジュノは「黒沢監督の長年の、そして筋金入りのファンとして、アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞の受賞、心からお祝いを申し上げます。『CURE/キュア』『回路』『トウキョウソナタ』『アカルイミライ』『クリーピー 偽りの隣人』『散歩する侵略者』……私が心の底から大好きな作品ばかりです。黒沢監督は我々に常に衝撃と刺激を与えてきました。1人のフィルムメーカーとして、黒沢監督に今一度感謝をお伝えします。釜山で素敵な時間を過ごされることを、心の底からお祈りしております」と祝福する。 また、黒沢の教え子である濱口は「おめでとうございます。学生時代からたくさんのことを教わって、今自分が仕事ができているのも黒沢さんのおかげだと思っていて、すべてを教わったような、そういう気持ちでおります」とコメント。「これからも、恐ろしく、そしてなぜか爽快な映画を作り続けていってほしいと思います。その背中をずっと追いかけます。改めて、おめでとうございます」と師の快挙を喜んだ。 感激した様子で壇上に上がった黒沢は「このような素晴らしい賞をいただき、驚いております。予想もしませんでした。僕が映画を撮り始めてもう40年になりますが、初めて釜山映画祭に参加したのはおよそ20年前なので、僕の映画人生の半分は釜山映画祭に見守られていたと言っていいでしょう。その20年間のキャリアが評価され、このような名誉ある賞をいただけたのだと思います。たいへん感激しております」と謝辞を述べる。 監督作「Cloud クラウド」「蛇の道」が本映画祭で上映される黒沢は「僕は今年2本の映画を完成させましたが、その2本が両方ともこの釜山映画祭で上映されます。僕にとってはこれが何よりもうれしいことです」と述懐。「釜山映画祭の観客は世界でもっともハイレベルな観客だと僕は思っておりますが、その方たちに僕の最新作2本をお見せするために、僕はまた釜山にやってきました。20年前から僕の作品を観続けてくれている方も、今回初めてご覧になる方も、どうぞ楽しみにしていてください。本日はありがとうございました」と熱い思いを伝え、拍手を送られた。 転売で稼ぐ主人公・吉井の日常が破壊されていくさまを描いた「Cloud クラウド」は全国で公開中。菅田将暉が主演を務めた。 (c)2024 「Cloud」 製作委員会