「第3極は消滅、政権は不安定化する可能性も」 政治学者の内山融、竹中治堅、高安健将が来年を予測(3)
<THE PAGE 生トーク>衆議院総選挙 国民は何を選択したのか? 政治学者が徹底討論
THE PAGEは、12月14日、「<THE PAGE 生トーク>衆議院総選挙 国民は何を選択したのか? 政治学者が徹底討論」を生放送。「2015年の日本の政党政治」について語った部分のダイジェスト動画を公開します。 出演は、内山融・東京大学大学院総合文化研究科教授、竹中治堅・政策研究大学院大学教授、高安健将・成蹊大学法学部教授、萱野稔人・津田塾大学教授ら。以下、討論の内容の一部抜粋になります。 --------- 〈以下、一部抜粋〉 萱野稔人:連立与党が勝利した。これから政治はどうなるのか。 内山融:「信任を得た」として、さまざまな法案が出てくるだろう。典型的には安保関連法制がそうだ。 竹中治堅:内閣支持率と不支持率が拮抗している。支持率がどう動くかは重要だ。内閣改造で支持率が上がったとしても、解散に納得していない人が多く、かつ、景気も良くならないとなると、支持率が下がることだってあり得る。そうなると、「信任を得た」と言っても、政権は不安定化することになる。安保法制もあるが、まずは、経済をどのように活性化するか、具体的な施策が問われていくだろう」 内山:財政再建は問題となろう。消費税を先送りすれば、社会保障はカットするという点は、あまり選挙で問われなかった。そこは野党も、国民に負担、痛みを求める部分なので、攻めなかった。 高安健将:政策をとりまく仕組み、政党間の競争も注目だ。共産党が躍進した。共産党は、原発や安全保障、歴史認識などについてはっきりした態度をとるなかで、民主党はどうするのか。共産党と自民党の間にいる民主党には、プレッシャーがかかるだろう。政策は、与党、連立政権が作るものではあるが、実際には、野党の鏡、与党と野党とのバランスで、政権党がやれること、やれないことが決まってくる。野党が強ければ、与党内の権力構造も揺るがし、政権側も自制をしながら政策を出してくる。野党が弱い場合、与党が望む純粋な形の政策が出てくるだろう。 萱野稔人:第三極はどうなるのか。 竹中治堅:維新の党は、民主党に近い中道的な方向か、自民党より保守的な方向でいくのか。例えば、安保法制が争点化すると、維新の党のスタンスは大きな影響を与える。維新が右派的な方向にいけば、自民党の議論も右派の方向に引っ張られる可能性がある。中道的な方向なら民主党と接近する。 内山:第三極が瓦解する可能性もある。90年代の「政界再編」以来の日本の特徴は、議員の政党間移動が頻繁に起きることだ。先進国の政治では基本的には、議員は、所属政党を変えない。しかし、日本は違う。「離党」は「将来、この政党は強くなるな、弱くなるな」という「期待」によって議員が行動することだ。すると、「やっぱり自民党が長期的に政権をとるだろう」という「期待」が強まれば、第3極から雪崩をうって自民党にうつるということだってあり得る。 萱野:今回の選挙、一言で言うと、何だったのか。 竹中:現状維持、の選挙だ。 内山:政権の自己正当化選挙だ。 高安:有権者側から考えれると、白紙委任にしてはいけない、ということだろう。 --------- 討論のすべては、動画でご覧下さい。