日銀はなぜ「市場介入」を行うのか?急激な「円安」「円高」が日本経済に与える「悪影響」と介入がもたらす「効果」とは【日銀出身のCFPが解説】
急激で行き過ぎた「円高」となった場合の市場介入
反対に急激で行き過ぎた「円高」が進むと、輸出型企業にダメージを与えます。輸出先での価格が上昇するからです。これにより、目先の景気悪化が心配されます。経済の成長パワーを減退させる可能性もあります。 この場合、財務大臣は市場介入の実施を判断し、日銀に対して外国為替市場で「円売り・ドル買い」の市場介入を行うよう指示します。これにより、円よりもドルの需要が増え、ドル/円レートは「円安・ドル高」方向に修正され、安定することが期待されます([図表2])。 このとき介入(ドル買い)に使う円資金は、財務省が管轄する「外国為替資金特別会計」から支出されます。円資金を貯めているのではなく、その都度、国庫短期証券(国債の一種)を発行して金融市場から調達します。市場介入で買ったドルは「外貨準備高」に組み入れられ、米国債などで保有されます。 ここまで説明してきたのは、各国の通貨当局(政府および中央銀行)が独自の判断で行う「単独介入」のケースです。 世界経済の状況により、他国を巻き込んだ「協調介入」を行うこともあります。複数国間の通貨当局(政府および中央銀行)の思惑が合致し、同じタイミングで実施することができれば、市場介入の効果を高めることができます。 小松 英二 CFP® FP事務所・ゴールデンエイジ総研 代表・経済アナリスト
小松 英二