「あぁ、ついに来たか」戦力外通告の非情な電話…“27歳で引退”大田阿斗里はなぜプロ野球選手から警察官に? 運命を変えた“最後のトライアウト”
「あぁ、ついに来たか」戦力外を告げる電話
14年、プロ7年目を迎えたこの頃から、大田の右肩が悲鳴を上げ始めた。「それまで経験したことのない痛み」を覚え、負荷をかけたトレーニングができなくなった。コンディションが万全でないことで、メンタル面での焦りも生まれた。心と身体のバランスが少しずつ崩れていく。不安だけが募っていく日々。14年はわずか3試合に登板、翌15年はついに一度も一軍での登板機会を与えられなかった。 「もう9月の中旬には自分でもわかっていました。二軍の試合でも遠征に帯同することもなくなっていたし、試合に向けての調整もしていませんでしたから。だから、球団から電話がかかってきたときにも、“あぁ、ついに来たか……”という感じでした。でも、まだまだやり切ったという思いはなかったし、うまく休養を取れば投げられることもありました。それに、まだ26歳だったので、“年齢的にもまだやれる”という思いもありました」 こうして大田は迷いなくトライアウトを受けることを決めた。彼にとって幸いだったのは、ちょうどこのとき、世界の12チームが参加する「プレミア12」が日本で開催されるため、メジャーリーグ関係者が日本に集結していたことだった。 「ちょうどメジャーのスカウトの方が来日していた関係で、(ボストン・)レッドソックスと(サンディエゴ・)パドレスのトライアウトを受けることができました。その結果、レッドソックスはダメだったけど、パドレスとはマイナー契約を結ぶことになりました。でも……」 まだ契約が成立していなかったにもかかわらず、スポーツ紙で憶測記事が流れたことにより、パドレスサイドが態度を硬化させてしまい、この話は流れてしまった。そこで急遽、大田はオリックス・バファローズの入団テストを受けることを決めた。 「気持ちはすでにアメリカに飛んでいたけど、パドレス入りの話が流れたことで、ほっともっとフィールド神戸で一人だけで、オリックスの入団テストを受けました。その後、キャンプで実戦形式のテストも受けて育成枠での入団が決まったんです。オリックスの1年はそれまでよりも、いっそう自分の野球人生を懸けて臨みました。6月に支配下登録されたけれど、何も成績を残すことができず、結果的に再び戦力外通告を受けました……」
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