【年末回顧】主役は私たち“国民” 1票で政治が変われば生活も…2024年の選挙と行政【岡山・香川】
シリーズでお伝えしている年末回顧。3回目は行政や選挙を巡る1年を振り返ります。2024年、決着がついた課題もあれば、決着つかず、先送りになった問題もあります。 ■完成した香川県立アリーナ (早川祐貴記者) 「ここがメインアリーナです。固定の座席数は5024席、最大収容人数は1万人と中四国最大規模となっています」 サンポート高松に11月、新しい香川県立アリーナが完成しました。2025年3月のこけらおとし公演は、サザンオールスターズのライブが決まっています。老朽化した香川県立体育館に代わる施設として、整備案がまとまってから約9年、香川の新たな賑わい創出に期待が高まります。 一方、岡山市の新アリーナ構想は2024年、一つの決着が。 (岡山県 伊原木隆太知事) 「何ヵ月待たれても、このままでは何も動きません」 (岡山市 大森雅夫市長) 「1月末に明確な回答はできないとわれわれに言われた。率直にいうと残念」 岡山市から建設費用の一部負担を求められていた県が、参画の意思はないと表明。結局、岡山市が単独で整備することで決着し、動き出しました。 しかし、当初5000人以上収容、総工費約145億円とされていた計画は、最大1万人程度を収容と方針転換され、建設費はさらに膨らむ見込みです。誰が費用を負担するのか、課題は先送りされたままです。 10月に行われた衆院選。政治とカネの問題や物価高に苦しむ国民の叫びの中、自民・公明の与党は惨敗、過半数を割り込みました。 この決着を有識者はどう見たのか?地方政治に詳しい元香川大学教授の三野靖さんに聞きました。 (元香川大学法学部教授 三野靖さん) 「国民は今、物価高や生活が苦しい中で、政治家だけ、特別な財布を持っているイメージで見られたので、政治に関わるお金の感覚の違いが通用しなくなってきた。そういうところに国民が敏感になっている気がする」 岡山・香川では、長年のライバルの戦いに決着が。岡山4区では、立憲民主党の柚木道義さんが、自民党の橋本岳さんを破って当選しました。橋本さんは比例復活もならず、議席を失いました。また岡山2区のライバル対決は、自民党の山下貴司さんが選挙区で辛くも勝利。返り咲きを狙った立憲民主党の津村啓介さんは比例で復活当選しました。 岡山では改選前、5つの選挙区全てを自民党が独占していましたが、再編された4つの選挙区のうち1つを、立憲民主党が奪還しました。 一方、香川で注目されたライバル対決は1区。選挙前に立憲民主党の幹事長に就任した小川淳也さんは、応援のため選挙区にほぼ入れない状況でしたが、大勝。自民党の平井卓也さんは何とか比例復活しました。 (元香川大学法学部教授 三野靖さん) 「岡山は2区と4区が象徴的な選挙、香川は1区。小川さんと平井さんが対決して、小川さんは急きょ幹事長になって、自分の選挙もできない状況で不利なようだが、意外と小川さんに風吹いた」 国民一人一人の1票が生んだ自民・公明の少数与党という政治状況。その背景を三野さんはこう分析します。 (元香川大学法学部教授 三野靖さん) 「2009年のいわゆる民主党政権の政権交代ほどの熱気はなかった。政権交代まではたぶん望んでなかった。そうは言っても、意外と自民党が負けた」 少数与党の誕生で、野党の声が反映されやすい政治状況となりました。衆院選の後、浮上したのが、国民民主党が訴えたいわゆる「年収の壁」問題です。 (元香川大学法学部教授 三野靖さん) 「(Q:選挙後すぐに103万の壁が動き出すんだと)私もビックリした」 税金の負担が生じる年収の壁。現在の103万円を国民民主党は178万円に引き上げるべきと主張。これに対し与党は、2025年から123万円に引き上げ、今後178万円を目指す方針を決めましたが、国民民主党は納得しておらず、決着を見ないまま、年を越します。 (元香川大学法学部教授 三野靖さん) 「103万円が象徴的に捉えられたが、他の問題も一緒。子育て・介護・温暖化の問題、われわれの身近な生活が政治や行政で変わるんだと実感すれば、政治に対する関心も出るし、ちゃんとチェックしなきゃ、となるから、何か政治が変われば1つ、2つからでも変わるんだという国民に対するメッセージにはなった。そこは私は評価する」 また2024年は、衆院選と同じ日に岡山県知事選が行われ、伊原木隆太さんが4選を果たしました。 2025年は参院選や、岡山市長選が予定されています。政治の課題をどう決着させるのか。その主役は、25年も私たち自身であることは変わりません。
岡山放送