ノーベル平和賞受賞者が語る偽情報対策 「プラットフォームはフレネミー(友&敵) 」 マリア・レッサ氏対談全文
世界のファクトチェックをリードする国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の年次総会が6月26-28日にボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボで開かれた(記事は関連リンクからご覧ください)。 総会初日にノーベル平和賞受賞者でフィリピンでファクトチェックに取り組んできたマリア・レッサ氏が登壇した。以下がAFPのグローバルニュース担当フィル・チェトウィンド氏との対談全文だ。
状況は「地獄から煉獄」へ
フィル・チェトウィンド氏 最初に聞きたいんですが、いかがお過ごしですか?保釈中ですよね? マリア・レッサ氏 はい。状況は良くなる可能性があります。まず、ここでお伝えしたかったのは、会場の皆さんの仕事は非常に重要だということです。ファクトチェッカーと言うと地味に感じるかもしれませんが、嘘が爆発的に広がる世界において、皆さんは最前線で戦っているのです。将来、私たちが振り返るとき、この瞬間が勝利の始まりか終わりの始まりか、どちらかだと認識するでしょう。 私の話でしたね。私は自分の影を追いかけています。2024年中は一切寝ないと決めました。2024年は世界的な民主主義の転換点だからです。私たちは非リベラルなリーダーを民主的に選んでいます。その一因は、私たちがニュースを消費する方法、事実を得る方法にあります。 すみません、私の裁判の話でしたね。状況は良くなる可能性があります。ドゥテルテ元大統領の下で、真実の戦いで最初の犠牲者は、6年間の残虐な麻薬戦争で何人が亡くなったかという正確な数でした。警察に聞くと2,000人と言いますが、2018年12月の時点でフィリピンの人権委員会は約30,000人と発表しています。2018年ですよ?今は2024年です。 とにかく、ドゥテルテからマルコスへ、2022年5月に選挙がありました。ファクトチェッカーたちは全力を尽くし、パートナーと共に四層のピラミッドを築きました。一部の方々はここにいらっしゃいます。 そしてどうなったか?地獄から煉獄へ移りました。まだ完璧ではありませんが、何も完璧ではありません。 私の裁判についてですが、最大で11件の刑事告訴を受けました。弁護士と過ごす時間がジャーナリストと過ごす時間よりも長かった状態から、現在は2件に減りました。そのうち1件はラップラーを閉鎖する危険性がありますが、もう1件は私が7年間刑務所に行くぐらいです。かつて直面した103年に比べれば7年。だから、状況は良くなる可能性があります。