=LOVEは“10人全員が歌える”グループ 「TFT」で示したボーカル力、アイドルを貫き通すパフォーマンス
生歌で挑む=LOVEのライブパフォーマンスの強み
佐々木は歌い出しの前に「ライブみたいな感じで」と緊張するメンバーを鼓舞しているが、その言葉が示すように=LOVEはライブも全て生歌。7年間ステージに立ってきたことで培われてきたパフォーマンスとも言えるが、7周年コンサートの開催を記念して、9月5日には=LOVEの映像商品からコンサート音源の配信がスタートした。配信タイトルは、ライブフィルムとして映画化もされた『=LOVE 全国ツアー2023「Today is your Trigger」@日本武道館』、そして昨年の周年コンサートにあたる『=LOVE 6周年コンサート「=LOVE 6th ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT」@さいたまスーパーアリーナ』の2公演。特に後者は、セットリストの半分近くをオーケストラ、またはバンドの生演奏を迎えた上で、それに負けない歌声をメンバーが発揮している。 当日は筆者も現地でコンサートを観ていたが、こうしてライブアルバムとして改めて聴いてみて驚くのが、リズムが速く変拍子、さらには組曲的な楽曲構成である「ヒロインズ」の忙しなさだ。歌い上げるのとはまた違った、=LOVEの中でも屈指の難曲と言えるが、それを数珠繋ぎで10人が歌い繋いでいくのは見事。また、この日が15thシングル表題曲「ラストノートしか知らない」の初披露であった。「ヒロインズ」とは対照的に歌い上げるという側面で、楽曲のセンターである齋藤の歌声をリードボーカルに置き、Dメロから大サビにかけて佐々木、諸橋、野口が畳み掛けるようにして参加するコーラス、あらゆる面においてメンバー、ひいては=LOVEチームの進化を感じられる楽曲だった。音源で聴くとこのクオリティにして初披露だということに驚きを禁じ得ないのと同時に、その1年後の未来にいる7周年記念コンサートでのさらに進化したメンバーのパフォーマンスが楽しみになってくる。 アイドルファンの間では度々「口から音源」という用語が褒め言葉のように使われることがある。筆者はそのことに常々疑念を抱いてきたが、=LOVEに関して言えば、「ヒロインズ」での歌詞のアレンジや、諸橋が得意とする伸びやかなフェイクなど、ライブでしか聴くことのできない10人の歌声がそこにはある。佐々木が「THE FIRST TAKE」で言っていた「ライブみたいな感じで」の一言を聞いて、その考えは確信に変わった。
渡辺彰浩