<ノーベル賞>日本人受賞、初の4年連続なるか? 日本科学未来館が予想
【物理学賞】発表10月3日(火)18時45分~(日本時間)
■重力波の初観測による天文学への貢献 キップ・ソーン(Kip S. Thorne)博士/レイナー・ワイス(Rainer Weiss)博士 ■光格子時計の先駆的研究 香取秀俊(かとり・ひでとし)博士 未来館のノーベル賞活動は、受賞者を当てることよりも、素晴らしい研究を紹介することに目的がある。なので、毎年違う研究テーマを選んできたが、今年は昨年に続き「重力波」を再び紹介することにした。最有力候補であるというのが一番の理由だが、「基礎科学である」という点も考慮した。 ノーベル賞はアルフレッド・ノーベルの遺言により「人類のために最も貢献した」人に贈られる。2011年の「宇宙膨張」、2013年の「ヒッグス粒子」、梶田隆章先生の受賞で記憶に新しい2015年の「ニュートリノ」など、ここ数年の物理学賞は「宇宙の根本を知る」研究が受賞している。誤解を恐れずに書けば、これらは何かに役立つことに直結する研究ではない。それでも、「人類に貢献」と見なして授与してきたことに、選ぶ側の科学者たちのメッセージを感じるのだ。 もう1つの「光格子時計」は、量的な違いが質的な違いをもたらす面白さに気づいていただきたい。時計としての精度があがると(量的)、時計を標高や重力などの高性能センサーに使えるようになる(質的)のだ。用途はほかにもあるはずで、こちらは基礎と応用の両方に波及する成果といえるだろう。 《もっと詳しく》2017年「物理学賞」は誰の手に? 日本科学未来館がノーベル賞予想
【化学賞】発表10月4日(水)18時45分~(日本時間)
■物質の最小単位、分子のリアルタイム観察 中村栄一(なかむら・えいいち)博士 ■がん治療における高分子薬物の血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果の発見 前田浩(まえだ・ひろし)博士 / 松村保広(まつむら・やすひろ)博士 ■プロトン共役電子移動(PECT)の発見 トーマス・J・マイヤー(Thomas J. Meyer)博士 予想するのが難しいとされる化学賞。それは範囲が広すぎることが一因だ。有機化学者である中村博士の業績は有機物太陽電池、クロスカップリング反応を進める鉄触媒の開発など多彩で、どれを挙げるかに迷うほどだった。ユニークさと期待される波及効果の大きさから「一分子のリアルタイム観察」を挙げた。 次の「EPR効果の発見」は、抗がん剤をデザインする際の基本コンセプトの1つになっている。生理学・医学賞の2テーマは化学賞でもおかしくないと書いたが、このテーマは逆に生理学・医学賞の受賞でもおかしくない。 「PECT」は、光合成や糖からのエネルギーの取り出しなど、生物の体の中で起きている化学反応で起きている現象だ。糖や水、酸素などの分子が反応の前後に登場するが、その現象を担うのは電子やプロトンといった量子だ。物理学から化学、生命科学が地続きにつながっていることを改めて実感した。 《もっと詳しく》2017年「化学賞」は誰の手に? 日本科学未来館がノーベル賞予想