「この先も速いクルマは出るだろうが、爆発寸前って感じのヤバさを楽しめるのはこれが最後」by 大井貴之 これがランボルギーニ・ウラカン・テクニカに乗った自動車評論家の本音だ!
ピュアなスピリットを持ったクラブレーサー!
今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗! 20年続いたV10ランボルギーニの集大成、ウラカン・テクニカに乗った菰田潔さん、大井貴之さん、山田弘樹さんの3人は、思わず叫んだ! 【写真25枚】これが最後のV10自然吸気エンジン! ランボルギーニ・ウラカン・テクニカの詳細画像はこちら ◆「助手席もドライブできる」菰田潔 エンジンを掛けるところから儀式が始まり、そこからランボルギーニを味わえる。赤いカバーを跳ね上げ、エンジン・スタート・ストップボタンを押すと、背中の後ろでヴォヴォンという排気音とともに640馬力(470kW)、565Nmを発揮するV10エンジンが目覚める。予想よりおとなしいが、並のクルマより大きい音だ。EPCの会員さんもこの音でウラカンの感触を味わっている様子。 後2輪駆動で最高速度325km/h、0-100km/h加速3.2秒と聞くと相当なジャジャ馬を想像するが、実際に走り出すと非常にジェントルなマシン。流して走ってジャジャ馬だったら到底325km/hは出せない。 EPC会員さんから「サスペンションがちゃんとストロークしてますねえ」という感想。ストラーダ、スポーツ、コルサの3つのドライブモードがあるが、ストラーダは乗り心地とハンドリングのいいバランスだった。スポーツやコルサを選ぶと低回転からエンジン音が高まり、サスペンションも締まってくる。4WSも手伝っているのかハンドルもシャープに動く。「コーナーでロールしなくなりましたねえ」。助手席でもドライバーと一緒にドライブできるマシンだった。 ◆「爆発寸前って感じのヤバさ」大井貴之 ド派手なエクステリアは流石ランボルギーニ。搭載しているアウディ製V10自然吸気エンジンは最高出力640PS/8000rpm、最大トルク565Nm/6500rpmを発生。本家のアウディR8より20ps高出力。 注目は、その集大成と言えるウラカンのファイナルモデルであるテクニカが2WDで登場したことだ。2WDとしたのは、バッテリーを搭載しどんどん車重が重くなる近未来を見据えて軽量モデルを残そうと考えたのか。それとも4WDのR8とキャラを分ける販売戦略か、理由はともかくスペック的にヤバいことは間違いない。 しかしこのクルマ、実際は普通に乗れる。意外なほど視界は良いし、4WSのお陰でビックリするほど小回りがきく。V10独特の心地良いサウンドを響かせながらONもOFFもアクセルに対して100%忠実に反応するから扱いにくさはゼロ。やっぱNAだ。ミッドシップのトラクション性能は驚くほど高いとは言え、4WDのR8と同じ加速をさせたとしたら遥かに刺激的。これからの時代もっと速いクルマは出るだろうが、爆発寸前って感じのヤバさを楽しめるクルマは最後かも。 ◆「クラブレーサー!」山田弘樹 ウラカン・テクニカの魅力は、その美しいボディにSTOと同じ640PSの5.3リッターV10エンジンを詰め込んで、リア駆動で走らせるパッケージングにある。当然そのダウンフォースはSTOよりも少ないから、見方によってはテクニカの方が過激なモデルと言えるかもしれない。しかし実際の走りは、シャシーの作りがとても真面目で、安定感が非常に高い。 足まわりは決して柔らかいとは言えないが、その分操舵時の剛性感は高く、応答性がリニアだ。大排気量の自然吸気エンジンは扱いやすく、そのトルクをリアサスがガッチリと受け止めて、タイヤへのグリップを引き出してくれる。 もちろんこうした理想的なミッドシップの走りの陰には、スタビリティ・コントロールやトルク・ベクタリングの助けが大きく働いているのは事実であり、安定制御を解除して臨めば操縦の難しさが顔を出してくる。しかしそれを然るべき場所で、少しずつ自分のものにして行く楽しみがそこにはある。STOほど派手な外観はしていないけれどウラカン・テクニカは、とびきりピュアなスピリットを持ったクラブレーサーだ。 写真=茂呂幸正(メイン、サブ、リア) (ENGINE2024年4月号)
ENGINE編集部
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