だまされ、脅され、辱められ…従軍慰安婦問題の被害者は何を訴える 日本政府に慰謝料支払いを命じた判決が確定、果たして「解決」とは
▽裁判に勝ったものの… 昨年12月16日、韓国南東部・大邱で日米韓の研究者らによる慰安婦問題に関する国際セミナーが開かれ、原告の元慰安婦、李容洙さん(95)は「裁判に勝ったのに(敗訴した日本は)『悪いことをしました』と言わない。だから、日本は過ちを悔いておらず、それが私は悲しい」と訴えた。米議会へ出向いて問題を訴えるなど精力的に活動してきた李さんはこの日、「私も、もう気力がない」とつぶやいた。 セミナーが始まる前、訴訟の原告には入っていない元慰安婦の朴弼根さん(95)は、家族や支援者らとの懇談で「賠償を受けないといけない」と繰り返した。 息子の南明植さん(60)は取材に、「日本が礼儀正しい国だというならば、おばあさんたちが死ぬ前に、謝罪の一言と、その次に、正々堂々と賠償を受けたい。このまま母が死ねば、私は日本政府を相手に戦わなければいけない」と語った。慰安婦が「自発的だった」などと主張する人たちがいることが「胸にくぎが刺される思い」だ。
▽日韓対立でなく このセミナーに参加した米コネティカット大のアレクシス・ダデン教授は、日本が国会決議などの形で「歴史的犯罪への国家責任」を明確にすべきだと主張した。その上で、慰安婦は朝鮮半島出身者だけでなく、日本人や他の国の人もいたとして、慰安婦問題を「韓国対日本の構図にしないことが大事だ」と話した。 韓国の元慰安婦支援団体の李娜栄理事長も、ソウル高裁の判決に関して「韓日間の外交問題とだけ考えたり、日本の犯罪に対抗した『民族の勝利』と捉えたりしてはいけない」と語る。慰安婦問題の根本には、植民地支配や戦争だけでなく、性搾取、性暴力の制度があり、被害をカミングアウトした元慰安婦と支援者の運動は「性差別の構造を直視し、変化させようとするものだった」と強調した。