だまされ、脅され、辱められ…従軍慰安婦問題の被害者は何を訴える 日本政府に慰謝料支払いを命じた判決が確定、果たして「解決」とは
ロシアのウクライナ侵攻の戦闘で死亡したウクライナ人の遺族がロシアの損害賠償を求めた訴訟をウクライナで起こし、2022年のウクライナ最高裁が賠償責任を認めた。ソウル高裁は、こうした世界の判例を根拠に挙げた。 ▽日本政府の資産を差し押さえ? 上川陽子外相は、ソウル高裁判決から3日後の昨年11月26日、韓国南部釜山で行われた韓国の朴振外相(当時)との会談で、判決について「極めて遺憾だ」と述べ、「適切な措置」を求めた。日本政府は、賠償に応じない意向だ。 原告側は日本政府の資産を差し押さえて売却し、賠償金に充てる強制執行の手続きを取るのだろうか。 ソウルの日本大使館などの資産はウィーン条約の保護を受け、差し押さえが容易でない。しかし、元慰安婦らを支援する法史学者の金昌禄・慶北大教授は「日本政府が韓国内に有する商業用財産」があれば強制執行できるとの見解を示し、そうした資産を探し出して差し押さえることを主張する。
原告代理人の李相姫弁護士は「日本の賠償履行を当分期待できない中、強制執行を考慮せざるを得ない」としながらも、今回の判決を国際的に広く知らせることを、まずは優先させたいと言う。 ▽日本政府の取り組みと韓国での受け止め 日本は1995年に「アジア女性基金」を設立し、募金で賄われた「償い金」を韓国、台湾、フィリピンの元慰安婦らに渡した。だが、韓国では国家による賠償を求めて、受け取り拒否が続出した。2015年の日韓政府の合意は、元慰安婦を支援する韓国の財団に日本政府が10億円を拠出し、「最終的かつ不可逆的」な解決をうたった。当時の岸田文雄外相は「日本政府は責任を痛感している」と表明した。しかし、これも「法的責任」でないことに韓国では批判が起こり、財団の現金支給を拒否する元慰安婦らが出た。 原告代理人の梁盛遇弁護士は、どのような違法性があったのか具体的な法的責任を明確にすることで、こうした犯罪を繰り返さないことができると主張する。