「集落の孤立」は他人事ではない…孤立に備えて私たちができること 能登半島地震で見えた教訓
これまで土砂が崩れやすかった場所は 地震の際さらに大きく崩れる可能性も
この地区では26年前に台風による大雨で土石流が発生。7棟の建物が全壊し70代の女性が死亡、1人が重傷を負う被害がありました。 当時の映像を見ると、土砂が道路を塞いでいるのがわかります。 愛媛大学 森伸一郎特定教授: 「普段から豪雨によって土砂災害が起こりやすいというところが地震でも土砂災害が起きている。通常の大雨でこれまであそこ崩れやすかったなというところが、地震の時にはもっと規模が大きくなって崩れるという理解をしてもらえれば」
これまで伊方町で孤立集落「ゼロ」の想定とされたワケ
インフラのメンテナンスや防災工学が専門の森特定教授。 これまでの孤立の想定については… 森さん: 「震度6強以上のメッシュで土砂災害危険箇所があるところ、 これが2つ重なっていると(孤立)。震度5や6弱は考えられていないわけです。5強 6弱から土砂災害って起きるんです」
このような想定が生まれた背景には、13年前の災害が影響していると言います。 森さん: 「平成23年に起きた東北地方太平洋沖地震で想定外のことが起きた。翌年には想定外を出さないということで、今まで起きたこともないような理屈上除外できないものは全部いれようという考え方です」 森特定教授によると、想定外の地震を考えた結果、県内の被害は甚大となりほとんどの集落が孤立することに。 それでは、どこが優先順位が高いかわからないため条件を絞り込んで算出しなおし、現実的ではない想定になったというのです。
災害時に「自分たちで復旧作業ができるよう」住民間で進む備え
リゾート地区防災会長 福岡十四男さん: 「私もちょっと森林ボランティアもやっててチェーンソーは扱い慣れているので、これがあった方が便利」 再び伊方町。孤立に対して独自に対策を進めている福岡さんです。 福岡さん: 「木が倒れて塞いでいるようなときはこのチェーンソーを使って撤去するとか、バールとかがあるんで石ころが道路の上にあったら撤去する。よっぽどの大木でなければ問題なく切れます」 チェーンソーをはじめとした様々な機材。有事に自分たちで復旧作業を行うため、町に要望して設置を進めてきたといいます。 福岡さん: 「(自分たちで)やらざるを得ない。あてにしていて、早く救援にかけつけてくれたらむしろラッキーと思った方がいいのかな」 この地区では住民を対象にしたチェーンソーの訓練を行い、操作できる人手を増やすなどの取り組みをしてきました。