中国の経済回復は絶望的、コロナ禍より深刻な消費低迷でシャッター街続出…2025年の政策に消費刺激の具体策ゼロ
来年の中国経済の方向性を決める党中央経済工作会議が12月11~12日まで開催された。その内容をみると2025年の経済回復はかなり困難、というより絶望的だ。経済回復の鍵となる消費を刺激するような具体策が1つもない。トランプ政権の対中関税引き上げに備えて人民元の切り下げ方針が示されているが、その結果、輸入品物価が上がり消費はますます縮小していきそうだ。中央経済工作会議の中味を分析しながら、来年の中国経済の見通しをみてみよう。 【写真】中国のタワーマンション群、見るからに供給過剰だ (福島 香織:ジャーナリスト) 中央経済工作会議では9点の重点任務が打ち出されている。 (1) 消費拡大、投資効率引き上げ、全方位的な国内需要の拡大 (2) ハイテク・イノベーションによりニュークオリティ生産力を発展させ産業体系を現代化させる (3) 経済体制改革による影響力を発揮させるための画期的なイニシアティブを実施 (4) 対外開放レベルを拡大し、対外貿易、対外投資を安定させる (5) 主要分野のリスクを効果的に防止・解決するマクロプルーデンスを実施し、システミック・リスクから利益を守る (6) 新しい形の都市化と農村部の全面的な振興を包括的に推進し、都市と農村の融合・発展の促進 (7) 地域発展の活力増強のために地域戦略の実施をパワーアップ (8) 炭素削減、汚染削減、グリーン成長を相乗的に推進し、経済・社会を発展させる包括的なグリーン転換を強化 (9) 民生の保障、改善パワーを増強し、人民群衆の幸福感、安全感を増強 今年の会議の特徴は、重点任務の筆頭に消費拡大が置かれていることだ。昨年まではハイテクを使った現代化産業体系の構築が首位の任務だった。 中国紙21世紀経済報道の解説を参考に意図を整理すると、来年の経済目標としては、経済の安定成長、雇用の維持、物価の総体的安定、国際収支の基本バランスを維持、住民の所得増と経済成長の同ペースでの促進などが挙げられている。印象としては、「穏」(安定)という文字が多用され、いわゆる経済成長至上主義から社会の安定に軸足を置いた表現となっている。 また、来年の経済成長目標は5%前後とされているが、実際に来年春の全人代でこの数字が政府活動報告に盛り込まれるかは分からない。この数字は、実現可能という観点からではなく、2035年の中国現代化目標を実現するためには1人当たりGDPが中等先進国家のレベルに達しなければならず、そのためには2020年から2035年までの年平均経済成長を4.72%に維持することが必須という計算から設定された数字にすぎない。 もし今年のGDP目標5%が達成できなかった場合、すでに共産党の目標値は達成できなくともよい、という意味になり、目標値を設定すること自体をやめてしまうかもしれない。 財政政策としては、積極財政を打ち出し、財政赤字率を引き上げるとした。今年の中央経済工作会議で「財政規律」という言葉が使われなくなった。2024年に3%と設定された赤字率はおそらく4%かそれ以上に引き上げられるだろう。