新型ジープ・ラングラー・アンリミテテッド・ルビコンが、“機能美の極致”であるワケとは
都市部も得意
日本ではそういう場所はほぼないけれど、実は都市部の移動も、得意とするところ。トルクがたっぷりあって乗りやすいし、クロスカントリー型オフローダーの常として車体の揺れが大きいが、それを御していくのも、ある種のスポーツのようでたのしめる。 以前はラングラーといえばV8やV6だったけれど、いまのルビコンは、1995cc4気筒ターボエンジン。人によってはガッカリしているようだけれど、操縦感覚でいえば、十分にパワフルだ。 最高出力は200kW(272ps)、最大トルクは400Nm。車重1960kgの車体だが、パワー不足はほぼない。8段オートマチック変速機に、先述のセレクトラックシステムが組み合わされていて、車内のスイッチで簡単に、後輪駆動、4輪駆動、それに「4L」という本格的オフロード用のギヤを選べる。 米国では、ドアやタイヤ用のフェンダーを外して走っているラングラーを多く見かける。岩場などのオフロードでは、特にそんな仕様が多いようだ。それもこのクルマだからこそ。パーツを取り去っていって、ある種の美が生まれる。ユニークな存在だ。 日本法人では、運転席の頭上部分のルーフだけぱっと開けられる「フリップトップ」のオプションを用意していて、これがよい。 米国で見かけるラングラーに比べると、開ける部分はほんの少しかもしれないが、日本の路上で、頭上を風が吹いていくのを簡単に感じられる爽快感は、またとなく大きい。 衝突安全基準を満たすために、バンパーが大型化するのはしようがないけれど、それでも、こんなプリミティブなクルマはないだろう。エンジンと乗員が乗るキャビンとタイヤというクルマの構成要素を合体させたような、クルマの原初的な構造を感じさせるボディデザインは、これこそ機能美の極致。 ラングラーでしか手に入らないモノ・コトは数多くある。これが大きな魅力かもしれない。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)