【独占取材】仙台育英・昨夏甲子園準V投手が語った「甲子園の調整の難しさ」「佐々木麟太郎」「今年導入の朝夕二部制」
「甲子園二部制」のメリット
――今年から甲子園は朝夕に試合が行われる二部制が3日間だけ行われますが、実際に第3試合での準備の難しさを知っている湯田投手にとって、この施策はどう感じますか？ 湯田 二部制のメリットは、第2試合以降に登場するチームにとって試合時間がわかりやすいことだと思います。これまでは前の試合が長引くなどして試合開始が遅れるなど、時間が分かりづらいところがありました。二部制になったことで夕方にやることがはっきりとしたのでやりやすさはあると思います。 ――それでは昨年の甲子園を振り返ってもらいたいと思います。まず、浦和学院戦。4回を投げて8奪三振を記録する一方で、被安打7、4失点でした。 湯田 浦和学院さんの打線もスゴかったですし、初戦の難しさもありました。いろんなことが相まってこの結果になりました。 ――2回戦の聖光学院戦では4.1回を無失点に抑える好リリーフでしたが、しっかりと準備できたのでしょうか。 湯田 2回戦は（第4試合で）試合開始がわかりやすかったですね。今までやってきた調整をやるだけだったので、焦ることなく、丁寧に調整できました。初戦は体が全然動いていなかったので、全身が動くようにストレッチしたり、走ったり色々工夫して、いつも通りの調整をしました。自分の投球はある程度できたと思います。
「佐々木麟太郎には絶対打たれたくなかった」
――3回戦の履正社はどんな心境で迎えたのでしょうか？ 湯田 スゴく強くて有名な学校でしたし、「勝つには先制点だな」と思っていました。自分がいいピッチングをして試合を作ろうと思っていました。 ――5回3失点の力投でした。自分の投球はできたでしょうか。 湯田 それまでテンポを悪くしていたところがありましたので、完璧とはいえないですけど、対応してきたかなと思います。 ――準々決勝では世代を代表するスラッガー・佐々木麟太郎選手を擁する花巻東との対戦でした。 湯田 超高校級のスラッガーに打たれたら、勢いづかれてしまうので、とにかく佐々木選手に打たれないことを意識しました。各回先頭打者を抑え、初回を0に抑えることを重要視しました。佐々木選手に対しては捕手のリードに任せて自分の球を投げるだけ。自分の中では緩急を意識して投げていました。 ――配球面では尾形樹人捕手（早稲田大）に任せていたんですね。尾形捕手はどんな捕手でしたか？ 湯田 レベルの高い捕手でした。キャッチングも、ストップもスゴい。肩も強くて、タイムの取り方、間合いの取り方もうまいし、投げる時の構え方もうまい。投手によって構え方が変わるんです。ストレスを感じることなく投げられる捕手でした。調子が悪い時も、いろいろアドバイスしてくれます。 ――準決勝の神村学園戦も登板し、昨年の甲子園では全6試合を投げることになりますが、この形は想定をしていたのでしょうか？ 湯田 自分が全試合投げるつもりだったので、想定内でしたね。大会期間中はアドレナリンが出て、あまり疲労を感じないタイプでした。ケアだけはしっかりしていました。 ――甲子園のマウンドは投げやすいと聞きますが、湯田投手の場合はどうでしたか。 湯田 ホームベースからネット裏の観客席が近いこともあり、すごい投げやすいです。マウンドから見ると観客席が広がって見えるので、最初、距離感がとりづらかったのですが、慣れると、自分の距離感で投げやすく、思い切り腕が振れました。甲子園という場所はいつも以上に力が出ると思います。
