流行がタイムリープ→異世界転生へ 人間の「欲深さ」で変化も?
時間をテーマにした作品は名作ぞろい
アニメやマンガ、小説において、「時間移動」は繰り返し語られてきたジャンルといえます。誰もが一度は抱くであろう、「最善の未来を選択したい」「過去の過ちを精算したい」といった、願望をテーマにした作品は数多いです。この記事は高い評価を獲得したタイムリープ作品を紹介し、そこに共通する人類普遍の願望について考えてみます。 【画像】えっ、バランスどうなってるの? これが不安定に積み上げられたTVに寄り掛かるヒロインです(6枚) ●シュタインズ・ゲート 『シュタインズ・ゲート』は過去の過ちを精算し、理想の未来へ到達するため過去改変を繰り返す物語です。本作は2009年にXbox 360でリリースされたアドベンチャーゲームで、その人気の高さから複数のゲームハードに移植され、アニメ化や映画化も果たしました。 主人公の「岡部倫太郎」は「牧瀬紅莉栖(まきせ くりす)」の死を回避するため、偶然作ってしまったタイムマシン「電話レンジ(仮)」によって、メールや意識を過去に飛ばして何度も過去改変を試みます。問題となりうる行動を変化させることで「世界線の移動」を引き起こすのです。しかしその行動は思わぬバタフライ効果を及ぼし、やがて世界の運命を左右する大きな問題へと発展していきます。 何度タイムリープをしても悲劇を回避できなくて心が折れそうになったり、タイムリープの余波で大事な人を傷つけたりする困難を乗り越え、「すでに観測してしまった過去を変更せずに未来の結果だけを変える」という難問を解決する展開には胸が熱くなります。情緒とロジカルな思考が見事に融合した名作です。 ●魔法少女まどか☆マギカ 時間を移動することで過ちを精算する作品として、2011年にTV放送され大ヒットした「まどマギ」こと『魔法少女まどか☆マギカ』も外せません。本作でも「暁美ほむら」が「鹿目まどか」の救われる未来を目指して何度もタイムリープを繰り返しています。 しかし前述の『シュタインズ・ゲート』のように、根性とアクロバティックな発想で解決したりしません。実は「ほむら」がタイムリープを繰り返す行為そのものが「まどか」の運命と大きく関わっていたからです。タイムリープによる救済行為は「愛」なのか「執着」なのか、物語は時間軸の把握や過去の行動のコントロールといった、「知的な問題解決」の枠をはるかに超えた地点へと着地します。 そして続編となる『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』では、TV放送版の結末をひっくり返す衝撃のクライマックスを迎えました。2024年冬には『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』が公開予定です。きっと「やり直し」行為を伴う「愛」と「執着」のテーマがさらに深堀りされるでしょう。女児向けアニメを思わせるタイトルとは裏腹に深い情念がこもった作品です。