『ココメロン』のようなキッズ向け作品を子どもに見せてはいけない理由
「子ども向け」エンターテインメント作品と聞くと、鮮やかな色彩、覚えやすいメロディー、明快なストーリーなどを思い浮かべる人が多いだろう。たしかに、キッズ向けコンテンツの多くにはそれが当てはまる。 だが、そうした作品は子どもに優しいように見えて、実際はそうではないこともある。なかには、子どものためにならないどころか、子どもの健康や認知機能に害をもたらしかねない場合すらある。 ここでは、子ども向けコンテンツのどういった点が問題になるのかを説明し、それに基づくと子どもに見せるのが好ましくない作品を挙げ、逆に見せてもいい作品も紹介しよう。 ■子ども向け番組の何が問題なのか? 多くの親は、暴力や性的なほのめかし、乱暴な言葉などが含まれるコンテンツを子どもが閲覧しないように注意しているだろう。しかし、子ども向けとされるコンテンツであっても、もう少し微妙なかたちで子どもの認知や行動に悪影響を与えかねない特徴が潜んでいる場合がある。子どもの発達の研究者たちの間で最も非難されている特徴は次の2つだ。 1. テンポ テンポの速い子ども向け作品は、目まぐるしく変わるビジュアル、ぐいぐい引き込むストーリーなど見ていて楽しいので、子どもは喜ぶかもしれない。だが、これまでの研究では、テンポの速い番組を短時間視聴しただけで、子どもの実行機能(計画や問題解決、衝動の抑制をつかさどる認知機能)に有害な影響を及ぼしかねないことがわかっている。 米国小児科学会(AAP)の学会誌「Pediatrics」に2011年に発表された研究によると、テンポの速いアニメを9分間見ただけで未就学児の実行機能が低下していた。刺激が急ピッチで続くと、情報を効率的に処理する脳の能力が圧倒されてしまい、注意の持続時間が短くなったり自制が難しくなったりする。 さらに、テンポの速いコンテンツにさらされた子どもは、たえず刺激とその即座の充足を求めるようになるおそれもある。これもまた、子どもが持続的な努力や集中を必要とする活動に取り組むのを困難にしかねない。 テンポの速い子ども向けコンテンツは短時間の娯楽にはなっても、長期的な影響に関しては懸念すべき点があるということだ。