人手不足にロボット活用 新千歳でデジタル活用推進
新千歳空港で新しい通信技術「ローカル5G」やDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用し、案内支援や荷物運搬ロボットなどの実証事業が行われている。空港でも人手不足が課題となる中、業務の省力化やサービスの向上、周辺地域への周遊観光促進などにつなげる狙い。来年1月には自動走行車の移動サポートも計画している。 ソニーグループ100%子会社の通信業ソニーワイヤレスコミュニケーションズ(SWC、東京)が、総務省の2024年度地域デジタル基盤活用推進事業に採択され、今月10日から実施している。新千歳の国内線、国際線各ターミナルビル2階と連絡施設に、高速大容量や多数の同時接続などができる通信技術「ローカル5G」を取り入れ、画像センサー53基を設置。新千歳に到着した旅客の行動データを取得、分析して各サービスや観光促進などにつなげる。 さらに案内支援のアバター(分身)ロボット6台を配置。高さ1・5メートルほどの自走型ロボで、東京にいるオペレーターが遠隔操作し、画面越しに日本語や英語、中国語で案内する。データに基づく行動解析や画面を通して、困っている人を自ら探して案内できる。重さ約100キロまで対応できる荷物運搬ロボットも1台置き、通信技術で制御しながらプログラム通り自走。通行人などをセンサーで把握して止まるなど安全面も配慮している。 SWCは「ローカル5Gによる安定した通信で、スムーズなサービス提供ができる。施設を案内するオペレーターも場所を問わず、ライフステージに合わせて働けるため、空港の人手不足の解決にもつながる」と強調。空港内にはデジタルサイネージ7基を置き、支笏湖をはじめ千歳市の観光スポットを、通り過ぎる客層に合わせて内容を変えて紹介しており、千歳市観光課は「インバウンド(訪日客)にも市内を周遊してもらうきっかけになれば」と期待している。 実証事業は16日まで午前10時~午後6時に実施。来年1月24~30日も同時刻に実施し、案内自動走行車両の運行も予定している。
苫小牧民報