子どもへの性暴力防ぐ「日本版DBS」 下着窃盗含まず?「この先の課題は多い」
加藤大臣の発言を受け、「#なんでないのプロジェクト」の福田和子さんは、署名を呼びかけた。対象となる犯罪に、下着窃盗やストーカー規制法を含めるよう求めるものだ。 「じゃあそういうことはやってもいいという、抜け道のようになってしまったら嫌だなと思いました。この文言自体が被害を受けた方にとって、二次加害だと思いました。大臣が下着の窃盗やストーカー行為を性暴力とはいえないと言い切ってしまったのがとても残念に感じました」 1週間で3万2000人を超える署名が集まり、こども家庭庁に提出した。 「性的なバウンダリー(境界線)を侵害されるという意味では、どちらも同じだと思います。下着を触られたくないのに触られる、奪われる。ストーカーもここまで来てほしくないというバウンダリーを侵害されることです。恐怖心も感じるし、性暴力じゃないっていうのはおかしい。同意のない行為は、性暴力だよねっていうことがこれを機にもっと広まってほしいなと思います」 福田さんは、近く加藤大臣に直接署名を提出し、要望を伝える。「日本版DBS」がより良いものとなるよう活動を続けていきたいとしている。 「学校や塾での性暴力が相次いでいますが、それも氷山の一角で、外に出ない形で無数にあるんだろうということは、容易に想像ができます。そういう中で、こういう法律ができて、性暴力はいけないことだという社会規範ができていく。そういう役割に期待しています」
■子どもを性暴力から守るためには
付帯決議の中には、加害者の再犯防止のため、データの蓄積や研究、更生プログラムの充実なども盛り込まれた。 加害者の治療プログラムに関わる斉藤さんは、「日本版DBS」をきっかけに、社会全体の変化が必要だと感じている。 「再犯防止のプログラムに取り組んでいる加害者は、本当にごく一部です。多くの方が、治療プログラムにつながることができていない。『日本版DBS』で排除されてしまう可能性のある人たち、その他にも子どもへの性加害を繰り返してしまっているような人たちがたくさんいます。そういう人たちを適切なプログラムにつなげる仕組みと他の就労の機会が得られるチャンスが必要だと感じています。 また、この制度では再犯を防止することができても、初犯を防ぐことはできない。ここは大きな課題です」 こども家庭庁は、前科の確認だけでなく、性犯罪の「恐れがある」と事業者が判断した場合に、子どもに接しない業務に配置換えをするなどの措置を義務付けるとしている。法が施行されるまでに、有識者や現場の意見を聞き、ガイドラインを作成するとしている。 こども家庭庁の担当者は、法案について「乗り越えなくてはいけない壁が大きかった。それでも、子ども達を守るためにぎりぎりのバランスが取れた」と評価した。一方で、「あらゆる場面で指摘をいただいている。この先の宿題は多い。まずは法律によって、社会全体で子どもへの性犯罪を許さないということが示せれば」としている。