泥沼甲子園で雨天強行されたCS阪神ー横浜DeNA戦の賛否
一方、千葉ロッテ時代に2度の“下克上日本一”を経験している評論家の里崎智也さんは、「雨天強行も仕方がなかったのでは」という考えだ。 「レギュラーシーズンなら間違いなく中止でしょうが、CSの日程から考えると雨天強行も仕方なかったのかもしれません。セ・リーグの判断も理解できます。また試合が始まると、よほどの悪化がない限り途中で止めて雨天コールドゲームにする方が問題になりますから9回までやるしかなかったのでしょう。 条件は、5分5分で、勝った横浜DeNAからすれば“やってよかったな。あんなのがヒットになるってあり得る? ラッキーじゃん”という気持ちだったでしょうし、負けた阪神からすれば、“こんな状況でやらせるのか、最悪やん”という気持ちだろうし、両方のファンの感情も含めて真っ二つですよね。 いろんな意見はあるのかもしれませんが、僕は見ていてファウルの打球が泥に絡まってヒットになったり、通常ならば、絶対に見ることのできない野球を見れて面白かった(笑)。もちろん、僕が選手なら、こんな状態でやるのは、最悪の気分ですが。NFL(プロアメリカンフットボール)では大雪の中でプレーしたりします。どんな条件下でも、プロ意識を見せろ!という考え方もあるでしょう」 ファンや関係者の間でも、この雨天強行についての賛否は分かれているが、池田さんも、里崎さんも揃って、「日程も含めて、今後のあり方を考えるべき。その問題提起する意味ではメッセージ性のある試合になった」と声を挙げる。 雨天強行泥沼試合の悲劇を二度と繰り返さないためには、どういう規定の改正が必要なのだろうか。 実は、パ・リーグでは2試合以上の試合が中止、順延となり、予備日最終日の1日前までに決着がつかない場合は、ダブルヘッダーを行う可能性があるという規定があるが、セでは、ダブルヘッダーは行われないことになっている。まずは、セもダブルヘッダーを行う規定を追加すべきだろう。 池田さんは「予備日を1日増やせばどうか」という意見だ。 「単純に予備日を2日間に戻せばどうか。またパと同様、セもダブルヘッダーをルールに加えていいと思う。予備日を増やすことで、2、3位チームのローテーに余裕が生まれ、優勝チームの優位性が保たれないのかもしれないが、こういう悲劇的な試合が行われるくらいならば、そういう優位性問題の議論よりも、いかに選手やファンが納得できる試合を見せるかの問題を優先させるべきだ」 セでは、CSが導入された2007年は、ファーストステージとファイナルステージの間に2日間の予備日が設けられていたが、2008年からは、現行の予備日1日に変更された。一方、パでは、2010年まで予備日が2日あり、2011年から予備日が、セに合わせて1日となっている。 里崎さんは、こんな提案をする。 「確かに日程に余裕を持たせると下位チームの不利さが少し消えます。ロッテが日本一になった2010年は、予備日が2日あり、僕らはエースの成瀬をファースト、ファイナルと続けて初戦に使えましたからね。日程を担保するためには、全部を屋内球場でやるしかないのでしょうが、それも難しい。メジャーでは、天候が回復するまで、試合開始を何時間でも待ち、予報を調べながら中断を繰り返して、できるだけいいコンディションを探してやりますよね。11年目にしてCSで初めて起きた“万が一”なのですから、規定を緩めてメジャーのように、例えば試合開始が夜の10時になってもできるだけいい状態でできるような方法を考えるしかないのかもしれません」 いずれにしろ、この試合の教訓から、来季以降は、日程ファーストでなく、選手ファースト、ファンファーストを念頭に置いた、なんらかの規約の改正を講じなければならないだろう。きょう16日も甲子園地方の降水確率は60%となっている。