出町柳駅前のジャズ喫茶「LUSH LIFE」 京都の町にたゆたう音楽の記憶(その1)
ここも、京都の音楽の「要」なのだ
高田渡さんも京都に縁のある方。「あの、高田渡さんとかご存知ですか?」と勇気を出して聞いてみた。すると天気の話でもするみたいな調子で「あ~、高田渡は良くこの店に来とったよ!」と答えるマスター。えええええ!驚いた僕はさらに京都に縁のありそうなアーティスト、岡林信康さんや高石ともやさん、中川五郎さんの名前もあげてみると「岡林信康は来とったな。高石ともやは来なかったけど、中川五郎は高田渡とかとよう来てたよ」と、またしてもあっさり答えるではないか。 「でも、こういうのはブルースですよね?ここはジャズ喫茶じゃないんですか?」と食い下がる僕。「好きなジャズはモダンジャズとかじゃなくて、黒人のルーツ音楽としてのジャズなんや。高田渡とかが来てたのはこの店の前にやってた店だけど、ミシシッピー・ジョン・ハートとかのブルースをかけたら高田渡とかが喜んで通うようになったから、60年代末からはブルースとかばっかりかけるようになって、ジャズのお客さんが離れてもうたわ」と、なにやら面白そうな話をはじめるマスター…。 やばい。また京都の音楽の「要」に出くわしてしまったようだ。ワクワクというかドキドキというかちょっと興奮しつつも、マスターであるオヤジさんのご機嫌を損なわないように極力注意しながら、僕はオヤジさんの話の続きを聞くことにした。(続く) *** 注:文中の『The Jug Bands Background Of Jazz Vol. 1』ですが、「Backgrounds of Jazz / Vol. 1: The Jug Bands」というタイトルで、サブスクに存在していることが分かりました。故・中村とうようさんが、オリジナルの10インチ盤について自慢気に書かれていた貴重盤だそうです。また、このレコードに収録されているいくつかの曲はYoutubeでも聴くことができます。 以上、小川真一さんから情報を頂きました。ありがとうございました。