ごく普通の筋トレ好きサラリーマンがすこしだけ頑張れるようになるまでの物語のはじまり〔凡人伝 Vol. 1〕
凡人、と断じてしまうと、なんとも冴えないイメージだが、凡人は凡人なりに、他の凡人と比すべきところのない人生を送っている。そこの凡人とあそこの凡人の日常に、ひとつとして同じ日常はない。なかでも、積極的な身体活動がともなう凡人それぞれの体験においては、凡人のそれまで人生経験、身体的特徴が大きく影響するだけに、凡人の個性がひときわ際立つ。世に誇るべき偉業も記録も持たない凡人が身体活動を通じて脱凡する道程を〔凡人伝〕は追う。
自己紹介
こんにちは、大島悠暉です。といっても、誰もご存じないと思いますが……いま29歳で、大きくもなく、小さ過ぎもしない会社に勤めるサラリーマンです。これ、大丈夫ですかね。 Yahoo!で配信されるような記事に、私なんか出ちゃって。でも凡人の話だからいいのか。 私は会社員をやりながら、ボディメイクに熱中しています。昨年、NABBAという世界的なボディメイク団体が主催する日本大会で、初めてトップ10(スポーツモデル部門)に入ることができました。 でも、私はプロではなく、あくまで会社員です。毎日仕事をして、それからジムに行って。特別な人間ではないからこそ、凡人同士で響き合う部分があればいいなと思っています。よろしくお願いします。
体育嫌いというわけではないけれど
小学生の頃は、カードゲームにハマっていました。友達と一緒に外遊びしたり、水泳教室にも通っていましたが、一番はデュエル・マスターズや遊戯王です。あっ、やったことないですか? 自分は、デュエル・マスター派でした。 デュエル・マスターは、「シールド」といわれる相手の5枚のカードを破壊し、本体に攻撃を加えることがゲームの勝利条件です。うまく勝つためには、相手が出すモンスター(カード)との相性や、自分の手持ちカードの特性を考慮する必要があるんです。自分にとって不利なカードが出たときは、自分の持っているカードの特性を活かして、対応策や攻略法を考えます。この「相性や特性を理解して、相手に勝つためにはどうすればよいのか」という戦略を立てるのがすごく楽しいんですよ。 スポーツは、自分の体格やセンスによって、かなりの部分で勝敗や向き不向きが決まってしまうじゃないですか。特に、小学生ぐらいだと「トレーニング」という概念もまだ学んでいませんし。 もちろん、走るのが速くなりたいから、毎日土手を走って練習するとか、校庭の鉄棒で逆上がりをやるとか、その程度のことはあっても、それだけで先天的な体格差や成長スピードの違いは埋められないと思います。 そんなわけで、私はスポーツよりもカードゲームに熱中することになりました。戦略や情報収集、カード同士のシナジー効果をいかに生み出すことができるのかという事に楽しみを感じていたのです。