プロの世界でやらない人はいない。活躍するための「準備」【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第102回
みなさん、お出かけの準備は前日に済ませるタイプですか? それとも朝になって慌ててやるタイプですか? 【写真】山本キャスターの最新フォトギャラリー 何事においてもアップは大事ですよね。運動前の準備体操もそうですし、カラオケを歌う前に、マイクに向かって「あ、あ」というアレも準備のひとつ。試験前に勉強をするのだって準備です。 プロとして活躍する選手も試合に向けて、1年を通して準備を続けています。ということで今回は、プロとして長く活躍する選手に共通する「準備の大切さ」についてお話しさせてください。 野球は実際にプレーしている時間が短いスポーツです。ポジションにもよるでしょうが、3時間のゲームで実際に選手がプレーしている時間を総合すると、30分に満たないと言われています。つまり、それ以外の時間がとても長いんです。 現在、「時短」の波がMLBから世界中に波及しつつありますが、野球の試合がなぜこんなに長いのかというと、次のプレーに対する準備が必要だからです。将棋は1手を指すのに何時間もかけますが、それと同じようなものですね。 そこに、野球というスポーツの本質がある気がします。準備の期間がとても長いからこそ、プレー以外の時間の使い方が選手の成績、現役生活の長さに関わってきます。 例えば、体格で劣っていて豪速球を持たない投手は、変化球に磨きをかけ、ストレートとのスピード差で相手を翻弄しようとします。また、1日でも選手寿命を伸ばすために、トレーニングを重ねて筋力を増加させたり、練習の前後のストレッチを念入りに行なうなど体のケアに努めたりします。 "頭"の準備も大切です。名将・野村克也監督が、毎日のミーティングで選手たちに戦術を叩き込んでいたことは有名ですね。あまり重視されていなかった配球の重要さをいち早く見出し、データを活用して素晴らしい成績を残しました。 それは、戦力差があっても戦うための知恵。小兵だって、準備を重ねて挑めば巨人(ここでは「大きな人」という意味です)を倒すことができる、それを教えてくれたのでした。 実際に、"野村イズム"をしっかり受け継いだ方は選手としても活躍しましたし、現在のプロ野球の監督の中にも、その薫陶を受けた方が多いですね。野村さんは、「努力をすれば必ず運が向いてくる。大事なのは準備を怠らないことである」とおっしゃっています。チャンスが来た時に備え、それを逃がさないための準備をしておくことが明暗を分けるということですね。