【社説】半導体補助金「ばかげた話」扱いの米国、国際的信頼は気にも留めないのか
来年1月に任期が始まる第2次トランプ政権で中心的な役割を果たすことになる長官候補者が、サムスン電子などが米国に半導体生産工場を作る対価として支給することにした補助金を「浪費」と呼び、再考する意向を表明した。半導体などの先端技術産業で中国の挑戦を振り切るためには、「価値を共有する」同盟国が団結しなければならないと言っていたにもかかわらず、政権が変わると「ばかげた話」だと言う。ドナルド・トランプ前大統領がこのように約束を反故にするならば、米国の国際的信頼は大きく失墜し、企業は苦労して準備した投資計画を変更せざるをえなくなる最悪の状況に追い込まれる可能性がある。韓国政府は米国の次期政権を強く説得し、互いに不必要な被害が発生しないよう最善を尽くさなければならない。 第2次トランプ政権でイーロン・マスク氏とともに「政府効率化省」(DOGE)のトップを共同で務めることになったビベック・ラマスワミ氏は26日(現地時間)、自身のX(旧ツイッター)に「米インフレ抑制法(IRA)やCHIPS法(半導体および科学法)による浪費の補助金が、(トランプ大統領が政権に就く2025年) 1月20日より前に急いで支給されている」としたうえで、「このようなすべての土壇場での手法を再検討し、監察官に最後の瞬間に行われた契約を綿密に調査するよう勧告する」と明らかにした。ジョー・バイデン大統領が、米国の立ち遅れている半導体生産能力を引き上げるために超党派的な法律まで作って出した約束を、次期政権の長官候補者が調査を必要とする「不適切なもの」だと断定し、反故にする可能性があるという意向を公然と明らかにしたわけだ。米国を信じて困難な投資決定を下した同盟国と主要企業を裏切るようなものだ。 トランプ氏はこれに先立ち、CHIPS法について「貧しい国々に金をばら撒くきわめて悪いディール(取引)」だとし、「高関税を課せば、彼らが来てただで半導体工場を作るだろう」という見解を示した。その後、市場が大きく動揺すると、ジーナ・レモンド商務長官が乗り出し「離任する日まですべての補助金を支給することが目標」だと強いけん制球を投げた。 米商務省は4月、サムスン電子と補助金64億ドル(約9700億円)、8月にはSKハイニックスと補助金4億5000万ドル(約690億円)、政府融資5億ドル(約760億円)を支給する予備取引覚書をそれぞれ交わした。予備取引覚書は現時点では法的効力がない。これに対して、米国のインテルと台湾のTSMCは今月、法的効力のある最終契約を結んだ。このまま放置しておくと、韓国企業が真っ先に標的になりかねない。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )