【話題の韓国映画】GWに観たい、大人のためのロマンス映画
GWのホーム時間にサクッと観られる話題の作品をご紹介。韓国ドラママニアのライター&エディターの熱量たっぷりのコメントとともにチェックしてみては。 【写真】GWに観たい、韓国映画をもっと見る
ソン・ジュンギ×チェ・ソンウン『ロ・ギワン』/苦境の中で人を愛すことができるのか
実は約7年前に一度本作のオファーを受けているソン・ジュンギ。その時に断った理由は「ギワンの選択に共感できなかったから」と。なんとも俳優魂とこだわりに溢れた回答。この言葉の意味がわかるのは、物語後半です。グッとロマンスの比重が大きくなるので、確かに疑問を持つ人もいるだろうし、好みがはっきり分かれる作品な気がする。ただ個人的にはかなり人間らしい選択だなと思うとともに、やっぱり頭ではわかっていても抗えないのが愛の真髄なのか……なんて物思いに耽ったりして。なによりジュンギも断ってからずっと心に引っかかっていて、時を経てギワンの選択に納得できるようになり再オファーを受けたのだから、タイミングによっても人それぞれの感じ方で楽しめる作品であり、余韻が残る映画であるに違いない! 『怪物』の演技で一気に話題となった若手俳優チェ・ソンウンとのセンシュアルなシーンも美しく、まさに“魅せられた”と脱帽するんですよ。 北朝鮮出身の脱北者ロ・ギワン(ジュンギ)は母、叔父と中国に身を潜めていたのですが、不運が重なり、逃亡途中に母は死去。悲しみ嘆く暇なく選択を迫られたギワンは「ただ、生きてほしい」という母の思いのために、偽造パスポートを使用してベルギーに入国。とはいえ所持品は母の形見である財布と平壌で撮影した写真、そして母の死体を病院に売って工面したお金だけ。北朝鮮出身者であることを証明できるものがなく、難民申請の審査が通らない。このままだと北朝鮮に強制送還……って一難去ってまた一難。とにかく切ないし、やるせないことばかりなんですね。極寒のなか決してきれいとは言えない公衆トイレで過ごしたり、人種差別による暴力を受けたり、飢えにもがいたり、ついには財布を盗まれたり。ただ財布泥棒のマリ(ソンウン)と出会ったことで互いの人生が動き出していくんですよ。絶望しかない現実の中で見いだした唯一の光になるんですね。もちろん苦境であることには変わりないし、状況はなにも好転していないけれど、人を愛することの意味を改めて問うているイメージ。