トヨタ/日産/ホンダの「強みと弱み」がヤリス/ノート/フィット比較で露わに
しかし、伝統的なコンパクトカーのフォルムとしてはヤリスが正統派で、ノートとフィットは、より現代的だ。 トヨタには、ヤリスのほかにヤリスクロスがあり、さらに荷室の広い「アクア」や空間効率を重視した「ルーミー」もある。ヤリスは、先鋭的にスポーティなキャラクターを狙ったのだろう。モデル数の多いトヨタだからこそできる、スタイルなのだ。 逆に、コンパクトカーの車種数が少ない日産とホンダは、ターゲットを幅広くとり、実用性を大切にしているといえる。
この実用性という点で、特に評価したいのがフィットだ。後席シートにチップアップ&ダイブダウン機構を備えており、シートバックを倒したときの荷室との段差も小さい。 また、前席シートの背面には、後席乗員のためのスマートフォンを収める小さなポケットが設置されている。細かな気遣いが、利便性を高めているのだ。 ■スポーティ/安定・安心/バランス 今回の試乗車は、すべてハイブリッドだった。しかし、それぞれの仕組みは異なる。
ヤリスは遊星ギヤを使うトヨタ伝統のハイブリッド方式であり、ノートのe-POWERはエンジンで発電してモーターで駆動するシリーズ式、フィットはシリーズ式を基本としながらも、高速域でエンジンの直接駆動を使う。 同じハイブリッドながら、仕組みが違うため、走りのフィーリングも3車それぞれだ。 ヤリスのハイブリッドは意外にもレスポンスがよく、エンジン車に近いフィーリングだった。 ハンドリングもクイックで、キビキビとしている。それでいて、燃費性能のカタログ値は35.4km/L(WLTCモード)と、3車の中でもっとも良い。さすがハイブリッドの元祖、トヨタのクルマである。
ノートは、エンジンの存在感が小さく、まるで電気自動車(BEV)のよう。 スムーズさと静粛性が印象的だ。ハンドリングは、もっとも鷹揚だが、操舵に対する反応が一定でわかりやすい。ただし、燃費性能はFFモデルで28.4km/L、4WDで23.8km/L(WLTCモード)と、ヤリスには届かない。 フィットは、ヤリスとノートの中間といったところ。モーター駆動とエンジン駆動の両方を上手にミックスしている印象だ。燃費性能は29.0km/L(WLTCモード)であり、実際の燃費もノートとそれほどの差はなかった。