青木さやか「髪型が50年、毎朝キマらない。そんな私に娘が一言〈セットに時間かけないといい感じにならないよ〉」
青木さやかさんの連載「50歳、おんな、今日のところは『……』として」――。青木さんが、50歳の今だからこそ綴れるエッセイは、母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、初めてがんに罹患していたことを明かしたエッセイ「突然のがん告知。1人で受け止めた私が、入院前に片づけた6つのこと」が話題になりました。 今回は「髪型が50年キマらなかったもの」です。 【写真】ポイントに色を入れた青木さん * * * * * * * ◆髪型がキマらないという悩み 髪型がキマルことがない。50年なかったような気がする。 美容院に行けば、キマッてるなあ~と思って帰ってくることは多い。帰り道なんて、ショーウィンドウでキマッてる!と確認し、運転席の前にある小さな鏡を開いては閉じ開いては閉じ繰り返し確認。この日ばかりは鏡を見る回数が増えるというもんだ。 だが、翌日には、あれ?昨日のキマッてた感じは何処へ。 「わたしね、髪型があまりキマらないのですよ、悩みですよね、わたしの」 中学二年生の娘に長年の悩みを打ち明けてみた。
◆あのさママ、髪の毛ってさ… 「ママ伸ばしたら?髪」 「伸ばせるかな」 「伸ばせるでしょ、切らなきゃいいんだから」 「切らないでいられるかな」 「は?知らない」 「すぐに、切ってしまう。つい、楽だと思って切ってしまう。だけど、もしかしたら長い髪の毛の方が楽にキマるのかもしれない」 「そうじゃない?」 「今から伸ばしたら、いつ伸びるかな」 「知らない」 「知らないことが多いね」 「もういい?」 「何が?」 「この会話、もういい?」 「どうもね、美容院でやってもらった感じにならないのよ」 「あのさママ」 「はい」 「髪の毛ってさ、セットに時間かけないといい感じにならないよ」 「そうなの?」 「そうだよ」 「そうなんだ」 「知らなかったんだ。じゃあこれからやりなよ」 確かに、娘は学校へ行く前に小一時間鏡前に座る。よくまあ、その為に6時に起きるものだと感心する。わたしの中学生の時なんて、寝癖か、もしくは洗いざらしで、登校時間が自然の風ドライヤーの時間であった。今も、あまり変わらない。