DTM、ハイブリッド化する将来は検討せず……一方でエンジン車と電動車が同じ土俵で競い合う可能性はある?「メーカーはハイブリッドは高価すぎると言う」
DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)は将来、ハイブリッド化する予定はないようだ。その一方で、完全電動のマシンを導入し、エンジン車と共にレースに挑む可能性はあると、DTMの責任者であるトーマス・ヴォスが示唆した。 【動画】F1ドライバーが”軽トラ”で無理難題に挑む! フェルスタッペン&ペレス組 VS 角田裕毅&ローソン組の仁義なき戦い DTMはかつてITRが運営しており、2024年から約1000馬力を誇る電動マシンを投入する構想も発表していた。しかし2022年末、ドイツの大手プロモーターであるADACがDTMを買収。電動車を2024年から投入する案に関しては立ち消えとなっていた。 ADACのモータースポーツディレクターを務めるヴォス氏は、最近行なわれたオートスポーツ・インターナショナルに参加した際、motorsport.comの取材に対して「内燃機関(エンジン)車によるレースシリーズは、年々難しくなっている」と語り、スポンサー獲得のために電動要素を採り入れる作業が、水面化で続けられていることを明かした。 「スポンサーから最初に寄せられる質問は、DTMは持続可能性の観点から、将来に向けて何を行なっているのか、何を提案しているのかということだ」 「だから我々は、そこで何かを開発しなければいけない。そしてある時点で、おそらくクルマを変更する決断を下すことになるだろう」 DTMはかつてスーパーGTのGT500クラスとの統一規定”クラス1”のマシンで競い合うシリーズだったが、自動車メーカーが相次いで撤退。以後はGT3マシンで争われるシリーズへと変貌と遂げた。そこに、電動の要素を取り入れることを検討しているというわけだ。 以前ITR管轄下で持ち上がった電動化は、ワンメイク車両によるものだったが、今回のアイデアは開発の余地がある電動車両であり、ADACとしてそのアイデアを具体化し始めているという。 「自動車メーカーを魅了するには、自動車メーカーが作るマシンで争うシリーズでなければいけない」 「それがDTMの意義であり、我々に求められているモノだ。2028年や2030年に向けて何かを開発するためには、今すぐ仕事をはじめなければいけない。そして、それこそが我々がやっていることなのだ」 ただDTMがハイブリッドになる可能性は低いと、ヴォス氏は考えている。 「ハイブリッドカーについては、特にドイツのメーカーは皆『我々はLMDhマシンを開発しているが、国内シリーズで走らせるには高価すぎる』と言う。だから彼らは、GT3マシンを継続したいと考えている」 「ドイツでは、市販車の将来はバッテリーからの電力であり、ハイブリッドが活躍する期間はおそらく今後5年か7年くらいだと思う。なので、ハイブリッドカーがDTMに登場するとは思わない」 しかしその一方でヴォス氏は、合成燃料で走るエンジン車と電気自動車が争う転換点が訪れるだろうと考えているようだ。 「内燃機関車がなくなってから電気自動車が登場するとは思わない」 そうヴォス氏は語った。 「その(エンジン車と電動車が競合する時期が訪れる)余地は十分にある」 DTMは現在、シェル製の再生可能成分50%を含んだ燃料を使っている。 「2025年中に(合成燃料への移行を)なんとかできればいいのだが。これについては、多くの交渉が行なわれている。しかし、それが最初のステップになるだろう」
James Newbold