ユーロ2024制したスペインの象徴 ラミン・ヤマルを生んだ「クライフの遺志」とは
間接的な話を含めれば、クライフの遺志の広がりの価値は計り知れない。 マンチェスター・シティのグアルディオラ監督、アーセナルのミケル・アルテタ監督はラ・マシア出身であり、クライフの教えが体に刻まれている。プレミアリーグで指揮を執るふたりが信奉する攻撃的なサッカーにはクライフの匂いがするが、それは気のせいではない。 今回のユーロでも、マンチェスター・シティやアーセナルで指導を受けた選手が躍動した。 イングランドのフィル・フォーデン、カイル・ウォーカー、ブカヨ・サカ、スペインのロドリ、ポルトガルのベルナルド・シウバ、ドイツのカイ・ハヴァーツ、イタリアのジョルジーニョ、ベルギーのケヴィン・デ・ブライネ、スイスのマヌエル・アカンジ、フランスのウィリアン・サリバ、クロアチアのヨシュコ・グヴァルディオルなど、枚挙にいとまがない。 退屈な戦術論やフィジカル信仰が横行し、つまらなくなりかけている現代サッカーで、クライフは不滅の英雄だ。クライフがいなかったら、サッカー界はどうなっていたのか? ヤマルという英傑は生まれず、スペインのスペクタクルも完成しなかったかもしれない。 「美しく勝利せよ!」 偉大なる遺訓である。
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki