『クイズタイムリープ』生山太智氏、六大学野球副主将からテレビマンに…100本ノックの企画書に込める「スポーツへの恩返し」
■「間違いを楽しむ」から「正解を面白がる」へ…クイズトレンドの変化 ――前回は『クイズ世界は SHOW by ショーバイ!!』が登場したものの名物の「ミリオンスロット」がありませんでしたが、今回は導入されましたね。 五味(一男、『SHOW by ショーバイ!!』総合演出)さんから「ミリオンスロット」のこだわりをお聞きしたので、今回はぜひ使いたいと思いました。 前回も取り入れたかったのですが、流れの中で必然性がなかったので断念したんです。今回は年末ですし「懐かしいな」と思ってもらえるように、ミリオンスロットが必要になるストーリー作りを準備して入れさせてもらいました。 ――これはどこかの放送回のミリオンスロットの画を切り抜いて使っているのですか? 新しく作ったほうが速いので、作りました(笑)。アーカイブ映像から「◯◯萬」の画面をそれぞれキャプチャしてスロットのシステムを作って、演者さんが押したタイミングでサブコン(副調整室)で押すという形です。 ――ちゃんとガチのスロットになっているわけですね。ほかにも進化している点は、いかがでしょうか。 前回は1時間番組で今回は2時間なので、現代の出演者をチーム分けして長尺の団体戦にしました。それと、CGの規模感もアップしています。前回は、合成するのにウエストショットがやりやすいということで基本的に解答席に座る形にしたのですが、『アメリカ横断ウルトラクイズ』の後楽園球場での「◯×クイズ」というロケにも挑戦しています。 ロケにも応用できると、クイズ以外でもスポーツ対決だったり、それこそロケ番組だったりに落とし込めると思ったので、ここはどうしても頑張りたいなと思って技術チームとも入念な打ち合わせをして挑戦しました。 ――収録を拝見した時点では仕上がりのイメージが湧かなかったので、放送上でどうなっているのか楽しみです。このように編集が一つの肝になる番組ですが、一番大変な作業は何ですか? 当時の解答者との会話を見せるために、アーカイブ素材から横の人に話しかけているシーンのベストを、ものすごく探しました(笑) ――それは大変ですね! AI音声で会話するのではなく。 より生身な肉声で行けると思ったところは、まずそこを頑張ろうと思っているんです。ただ、当時は解答者同士のトークのカットが短くて…。だからなかなか見つからなくて大変です(笑) そういう作業をして感じたのは、新しく収録した映像も、過去のアーカイブと同じ素材の一つだということなんです。通常の番組収録は、ある程度決まった順番で決まったものを撮るという形だと思うのですが、『クイズタイムリープ』は収録も素材集めという認識。その集めた素材の中で新しい料理を作っていくという感覚が、この番組は新しいなと思って編集を進めています。 ――今回は現代の出演者に、阿部亮平さんやふくらPさんなど、各局のクイズ番組で活躍する人たちが参加していますが、彼らが苦戦しているシーンが意外でした。 五味さんとミーティングさせていただいた時に、今は「正解を面白がる」クイズが増えてきている一方で、当時は「間違いを楽しむ作り方をしていた」というお話を聞いたんです。だから、いい意味で制作側と演者さんの“対決”で、誤答の面白さを引き出すことを大事にしようと思って作りました。そのため、今のクイズ番組で活躍される皆さんにとって、その違いの難しさがあったのかもしれないです。 ――30年でクイズの文化が変わっているのが分かるというのも面白いですね。今回は、当時の解答者(レジェンドカード)の方がタイムリープして、過去の自分に声をかける場面もありますが、あそこは少しジーンとくるものがありました。 ベースとしては「懐かしい」があるのですが、仕上がりが「新鮮」になるようにするのをすごく意識しています。懐かしさはアーカイブ素材から出てくるので、仕上がりの新鮮さをどう注入していくかというのも、第2弾のテーマでした。そうした点で、今の自分と過去の自分が対戦するというところも意識したところですね。 ――そして今回の収録ではミラクルが起こりましたね。 はい、サブコンの全員が立ち上がりました(笑)。河野さんには「入念な準備をしたからこそ奇跡が起こるんだ」と言っていただき、苦労が報われたと思いました。このミラクルはぜひ楽しみにしていただきたいです。