国会議員の政治資金パーティー、広島県内6町が町長の会費を公費負担 専門家「出席は公務と言えない」
広島県内の全23市町のうち6町が国会議員たちの政治資金パーティーの町長の会費を「交際費」として公費で支出していたことが22日、分かった。支出額は2019~23年度の判明分だけで計178万円。専門家は法令違反ではないとしつつ「政治資金パーティーへの出席は公務と言えない。公費支出は適切でない」と問題視している。該当の町では見直しの動きも出ている。 【写真】5月17日「宏池会と語る会」の会費も 政治資金パーティーへの交際費支出が掲載されている坂町のホームページ
■支出理由は「町政の発展や振興に結びつく」
19~23年度の公費支出は坂町の吉田隆行町長が41回52万円で最多。今年6月に引退した府中町の佐藤信治前町長33回39万円▽昨年11月に退任した海田町の西田祐三前町長31回34万円▽神石高原町の入江嘉則町長16回22万円▽世羅町の奥田正和町長9回10万円―だった。 熊野町は三村裕史町長が22、23年度に17回21万円を支出したと明らかにした。19~21年度は案内状などを破棄して確認できないとしている。 支出先の政治資金パーティーは県選出の自民党国会議員の関連が目立ち、県議や広島市議、自民党県連、自民党派閥岸田派も含まれていた。会費は1回5千~2万円。各町は支出理由を「町政の発展や振興、行政の円滑な運営に結びつく」などと説明している。
■基準改め、政治資金パーティーへの支出禁止も
府中町は寺尾光司町長が就任した6月、交際費支出基準を改め、政治資金パーティーへの支出を禁じた。自民党派閥の裏金事件などを受け「町民から疑念を持たれないよう分かりやすい町政とするための判断」とする。 海田町は竹野内啓佑町長が昨年11月に就いた後、支出をやめた。こうした動きを受けて熊野、世羅、神石高原の3町も24年度からは支出しない方針だ。坂町は「社会経済情勢の変化などに十分配慮し、必要に応じて見直しを行う」とする。 6町を除く県内17市町と県は少なくとも23年度までの5年間、政治資金パーティーへの公費支出はなかった。ただ、交際費の支出基準や内規で支出禁止を明文化していたのは呉、竹原、府中、庄原、安芸高田の5市と、6月に新たに設けた府中町にとどまっている。 政治資金パーティーは政治団体が主に資金集めを目的に開いており、公費での参加は住民から集めた税金を特定の政党や政治家へ提供する形になる。地方自治に詳しい日本大の林紀行教授(政治学)は「公費支出は住民の理解を得られるものではない。各自治体は公費で支出できないようルールを作るべきだ」と指摘している。
中国新聞社