【スクープ】公費でまかなわれる選挙ポスター代を受け取った業者が、発注した政治家に献金…これでは「公費の還流」だ!有名政治家に続々と
候補者のポスターやビラなどを公費で賄う「公営選挙制度」の下、ポスター印刷などを請け負った業者からその選挙運動期間中(投票日翌日を含む)に政治献金を受け取った候補者が、2021年の衆院選において少なくとも13人に達していたことがわかった。内訳は与党の自民党が10人。野党は立憲民主党2人、国民民主党1人だった。 【写真】公費でまかなわれるポスター代。発注先の業者が献金すれば政治家への「還流」になるのでは? 13人の政治家を明らかに この中には、石破内閣で法務大臣に起用された牧原秀樹氏(埼玉5区)、同じくデジタル大臣となった平将明氏(東京4区)、今回の総裁選に立候補した河野太郎氏(神奈川15区)、当選13回の超ベテランで党憲法改正推進本部本部長などを歴任した船田元氏(栃木1区)らが含まれている。野党では、立憲民主党幹事長の小川淳也氏(香川1区)、国民民主党代表の玉木雄一郎氏(香川2区)らが該当した。 「公営選挙」に関して公費で支払いを受けた業者が候補者側に献金することに違法性はないが、公費の仕事を請け負った業者から選挙戦のさなかに寄付を受け取る行為は“公費の還流”との見方もできる。 日本大学法学部の安野専任講師は「政治活動の自由があるといっても、このケースの献金主は個人ではなく、営利目的の民間企業だ。その企業が公費の仕事を受託し、発注してくれた候補者に選挙期間中に献金するのだから、有権者の理解は得にくい。公営選挙に対する信頼性が損なわれる恐れもある」と指摘している。
選挙のポスター代は公費でまかなわれる
選挙公営制度は、資金力の有無にかかわらず選挙に立候補できる機会を設けるため、ポスター代などの一部を公費で賄っている。候補者は選挙で一定の基準(衆院小選挙区の場合は相対得票率10%以上)をクリアした場合にこれらの費用を選挙管理委員会に請求でき、選管は候補者の請求に基づいて、業者に代金を支払う。ただし、本当に発注通りの納品が行われたかどうかなどを直接確認する検収は行われない。 今回の調査は、日本大学法学部の安野修右研究室とフロントラインプレス、スローニュースの三者がつくった「選挙費用データベース」をもとにして、2021年衆院選の選挙運動費用収支報告書を分析。各候補が代表を務める選挙区支部(政党支部)の政治資金収支報告書と突き合わせるなどして調査した。 その結果、公費でポスターなどを受注した業者から献金を受け取っていた候補者は38人に達した。そこから2021年の選挙後に他界したり政界を引退したりした人を除外。そのうえで業者から献金を受け取った時期を「選挙期間中(投開票翌日を含む)」に限定し、該当する13人をリストアップした。