「二軍の選手にも輝くチャンスを」東北9大学が参加する「みちのくネクストリーグ」が開催中 発起人の仙台大指揮官が明かす思い
東北9大学のBチーム(2軍)が真剣勝負を繰り広げる「みちのくネクストリーグ」が、宮城県内を中心とした球場や大学グラウンドで開催されている。同リーグは、公式戦を経験できないBチームの選手に出場機会を与えようと、2016年にスタートした。毎年、リーグ戦開幕前の春、夏に開催し、今回で10回目を迎える。 【動画】全面人工芝のグラウンドに室内練習場も!仙台大学の練習に密着! 今回は仙台大、東北福祉大、富士大、八戸学院大、青森大、青森中央学院大、東日本国際大、石巻専修大、東北公益文科大の9大学が参加。勝率で順位を決め、最も活躍した選手には最優秀選手賞が与えられる。またコールド試合やタイブレーク制も適用するなど、公式戦に準じた形式で実施している。 発起人は仙台大の森本吉謙監督。200人以上の部員を抱える仙台大をはじめ、大所帯の強豪私立大が増えていく中、ある危機感を覚えたのがきっかけだった。 「公式戦に出場できないBチームの選手が周りから『意識が低い』『気持ちが弱い』などと言われるようになった。真剣勝負の場がないのに、そういう目で見られたり、『日本一を目指せ』と言われたりしても、選手はピンとこないはず」 当時、Bチームの選手がプレーする機会はオープン戦しかなく、リーグ戦の真剣勝負に臨める選手は一握りだった。かといって、ベンチ入りメンバーを増やすわけにもいかない。そんな時、「目標があれば頑張れる。頑張りを表現できる場所をつくりたい」と思い立ち、Bチームだけで編成するリーグの開催を計画。各大学の指導者の賛同も得て、新たな試みが始動した。 「こいつら、こんな顔できるんだ」(森本監督)。勝敗を問わないオープン戦と比べて緊張感が増し、選手たちの目の色も変わった。強豪私立大に進学するポテンシャルを持つ選手たちが、勝利のため、レギュラー奪取のため、必死にプレーする野球のレベルは、Aチームに引けを取らないほど高い。みちのくネクストリーグは起用する選手を見極める絶好の機会にもなり、森本監督はここで活躍した選手をリーグ戦のメンバーに抜擢することもあるという。 森本監督には「東北以外の地区とも協力して、Bチームの全国大会を開きたい」との野望がある。「いずれはBチームだけでなく、Cチーム、Dチームと各カテゴリーの全国大会を開いて、アメリカのマイナーリーグのような仕組みをつくるのが理想。試合の様子を動画配信すれば、遠くにいる親御さんや出身高校の指導者の目にも触れることができる」。200人いれば200人の野球人生がある。そのひとり一人を輝かせるのは、指導者の重要な役目の一つだ。 みちのくネクストリーグは4月上旬まで続く予定で、日程や試合結果は仙台大硬式野球部のホームページで随時更新される。実行委員の一人である仙台大の渡部亮太コーチは「各チーム、いきのいい、ギラギラした選手を送り出している。たくさんの方に観に来てもらいたい」と来場を呼びかけている。