メルセデス・ベンツが快適でBMWがスポーティ? 最新 Eクラス vs 5シリーズ プラグインHVを比較試乗(2)
パッケージング上の妥協が否めない2台
車内空間は、どちらも5m前後の全長から想像するほど広くない。ドアを開くと、その体積がどこへ消えたのか、不思議に思うかもしれない。 欧州ではタクシーにも採用される2台だが、後席側の前後方向は特に期待値へ届いていない。E 300eの方が僅かに余裕はあるとはいえ、身長が180cmを超えると、フロントシートの背もたれに膝が触れてしまう。 荷室を比べてみると、E 300eではプラグイン・ハイブリッドの影響が大きい。Eクラスのディーゼルターボと比較して、容量は170Lも小さくなっている。530eは電動化システムの影響を受けておらず、広いままだ。 これらのパッケージング上の妥協は、プラットフォームに起因している。新しいEクラスは高度な電動化を優先せずに設計されたもの、新しい5シリーズはバッテリーEVのi5との共存を前提に設計されたものを、基礎骨格とするためだ。 3.0Lのディーゼルターボなら充電の手間なく、18.0km/L近い燃費を得られる。電動化の必要がなければ、より優れたパッケージングにもできるはず。しかし、社会は異なる方向を見ている。メルセデス・ベンツEQEとBMW i5もまた、妥協は多いのだが。
優劣のつけがたい2台 僅差でEクラスか
果たして今回の比較試乗、両車は拮抗した内容にあるようだ。この2台に限っては、Eクラスが快適で、5シリーズがスポーティ、と単純にはまとめきれないだろう。 どちらも動力性能に不満はなく、走りは全般的に快適。インテリアは概して上品で、駆動用バッテリーを充電していれば、ランニングコストも同等に抑えられる。 少なくとも英国の場合、E 300eは納税額で530eより若干有利。移動時の体験に影響を与えるインフォテインメント・システムは、使い勝手で優れるといえる。 メルセデス・ベンツの方が、全体的に調和し、熟成された印象を筆者は受けた。スタイリングの自己主張も、BMWほど強すぎないのが好ましい。