「才能のある選手も試合に出なきゃ意味がない」――“韓国のイチロー”が痛感し、大谷翔平が示した「名選手の条件」
「どんなに才能のある選手でも、試合に出られなければ意味がない」 不運な形でメジャーリーグでの1年目を終え、ジャイアンツのイ・ジョンフは帰国会見の場でそう語った。 【動画】本塁打直後も気になる仕草 イ・ジョンフの「ヘルメット問題」を見る 昨年12月にジャイアンツと6年総額1億1300万ドル(約175億円)の大型契約を締結したイ・ジョンフ。KBO(韓国プロ野球)リーグで22年に国内MVPにも輝いた実績を引っ提げ、鳴り物入りで海を渡った26歳への期待は小さくなかった。 注目された“黄金ルーキー”だったが、ブレイクの兆しが見えた矢先にアクシデントに見舞われる。5月のレッズ戦の守備中にフェンス際の飛球をキャッチしようと試みた際に左肩を強打。左肩関節唇損傷で今季絶望の大怪我を負ってしまったのだ。 積極果敢にトライしたワンプレーで貴重な1年を棒に振った。その無念さは本人も「今年は自分が成し遂げたことを語るには試合数も、なにもかもが足りない」と惜しむ通りだ。 「良い選手というのは、たくさんの試合に出場する選手だと思っている。そうやって大きな成績を残すのだと思うんです。自分は、この2年間、フルシーズンをプレーできていない。キャリアの中で最も成長すべき時期に欠場していることにとても不安を感じています。良いプレーをするかどうかは別として、もっと多くの試合に出場したいです」 彼の言葉にはピンと来るものがあった。それはレギュラーシーズンの終了時に大谷翔平(ドジャース)が記者会見で語っていた言葉だ。 右肘側副靭帯の損傷によるリハビリのため、「打者専任」今シーズンに史上初となる「シーズン54本塁打・59盗塁」を達成した大谷。そんな1年を振り返った偉才は「記録とかいろいろありましたけど、1年間まずは安定して出られたのが一番自分の中でよかった」とポツり。ほとんど休みなく159試合に出場した実績を誇った。 どんな記録よりも試合に出続ける。それは見る側にとっては“当たり前”のように映るが、タフな試合をこなす中では決して簡単ではない。事実、「逸材」と言われた多くの選手たちが怪我に泣き、キャリアの幕を下ろしている。 無事これ名馬なり――。スポーツ界にはこういう格言が存在する。人並外れた才能を持つ人間が集うプロフェッショナルな世界において、大きな怪我もなく、結果を出し続けられる選手を評した言葉だ。 大谷を「憧れの対象」と語る韓国球界の至宝の言う名選手の条件とは、スポーツ界で古くから言われる格言が示すところなのだろう。 現在リハビリを終え、実戦復帰に向けた準備に入っていると言うイ・ジョンフ。愛知県生まれであることから「韓国のイチロー」と評される逸材が、正念場となる2年目にどう挑むか。憧れのスター像を追い求める26歳に注目したい。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]