インディアン スポーツチーフ 試乗インプレ【1890ccなのに“回せ!”と催促してくるアグレッシブなエンジンがたまらない】
排気量1890ccの空冷Vツインエンジン「サンダーストローク116」
首都高速から東京湾アクアラインへと流れていく道中、後ろから眺めるスポーツチーフは走行モードを変えたときの加速変化が驚きだった。後ろから見ても、小川がスポーツモードに変えたタイミングが瞬時に分かるほどだった。 単にアクセルを回した加速とは明らかに異なっていた。地を這うようなロー&ロングなスタイルで、空気を切り裂いているかのような鋭さで前進し、私との距離が一気に広がっていく。あの巨体をあの勢いで加速させるスポーツチーフとは何者なのか? 一体、実際に乗っているライダーはあの加速感をどう感じるのだろうか? と興味がわいた。 チーフ100周年を記念して2021年に誕生した現行のチーフシリーズは、アメリカンモーターサイクルの栄光の時代にオマージュを捧げたラインナップが特徴。スポーツチーフが発表された際には、「気負うことのないライディングスタイルとアメリカンマッスルのダイナミックさを維持しつつ、パフォーマンスクルーザーの水準をさらなる高みに引き上げるコンポーネントパーツでまとめ上げたいと考えてた」と、インダストリアルデザイン担当ディレクターのオラ・ステネガルドさんはコメントしている。 このパフォーマンスクルーザーというキャラクターを語る上で欠かせないのが、排気量1890ccの空冷Vツインエンジン「サンダーストローク116」だ。このエンジンの個性とパワーを引き立てるように、スポーツチーフのサスペンションは、フロントにKYB製倒立フォーク、リヤに4インチ(約100mm)のトラベルを持つFOX製の2本ショックを採用。ブレーキはブレンボ製のラジアルマウントキャリパーで構成され、ハンドリングの良さと高パフォーマンスをかなえるための充実した装備も魅力だ。 【2024 INDIAN MOTORCYCLE SPORT CHIEF】主要諸元 ■全長2301 全幅842 全高1270 軸距1640 シート高686(各mm) 車重302kg ■水冷4ストOHV49度V型2気筒リアシリンダー休止システム付/サンダーストローク116 1890cc 内径103.2×行程113mm 圧縮比11:1 最大トルク16.52kg-m/3200rpm 変速機6段 燃料タンク容量15.1L ■キャスター28°/トレール111mm ブレーキ形式F=φ320mmWディスク+4ポッドキャリパー R=φ300mmディスク+2ポッドキャリパー タイヤサイズF=130/60B19 R=180/65 B16 ●価格:ディーラーへお問い合わせください ◆途中で私もスポーツチーフに試乗。人生最大排気量バイクの試乗のため、おとなしくスタンダードモードのみを使用。それでも十分なパワーを体感。とくに信号待ちなど停車時に全身で感じた鼓動感は、まさに乗馬で感じるようなマッシブな存在感で印象的だった。 ◆排気量1890ccの空冷Vツインエンジン「サンダーストローク116」は最大トルク162Nm。ピッチが細かいシャープな冷却フィンなど造形も美しい。他のインディアンの最新モデルと同じく、気筒休止システムを搭載。停車時にリヤシリンダーをひとつ休止することで、エンジンからライダーに伝わる熱を抑えてくれる。 ◆オプションのパワーフィルターを装着。これによりアクセルを開けた際の吸気音も明確に。丸みのあるデザインのエンジンまわりは、いつまでも眺めていられるほど。OHVならではのプッシュロッドや高さを抑えたまとまり感が、クラシカルでありつつモダンな雰囲気を醸し出す。 ◆オプションのFoxパフォーマンスアジャスタブルピギーバック型リヤショックを装着することで、見た目と性能のスポーティーさを演出。タイヤはピレリのナイトドラゴンを装着。フロントブレーキにはブレンボ製の4ピストンキャリパーとφ320mmの2枚のセミフローティングロータークルーザーを採用。クルーザーなのに、スポーツバイクのようなブレーキを装備している点も、このバイクのキャラクターを物語っている。 ◆駆動はベルトドライブで、静粛性とメンテナンス性を両立。テールライトはウインカーと共用。 ◆モードはツアー/スタンダード/スポーツから選べる。3種類は明確な違いがあり、スポーツはかなりアグレッシブだ。4インチ&タッチスクリーン仕様のデジタルメーターは、デザインが異なる2種類の表示をワンプッシュで選択できる。 ◆今回借りた車両には、ノーマルより大型のウインドディフレクターを装着。ヘッドランプは特徴的なデザインのフルLED。オプションでタンデムシートやステップも用意されているので、タンデムも可能だ。 ◆巨体を軽々と動かすことが可能。スポーツチーフはきちんとハンドリングが考慮され、ステップを擦りながらダイナミックなコーナーを楽しむことも可能。立ち上がり重視の組み立てて、独特のスポーツワールドを楽しみたい。