【大学トレンド】ブンデスリーガで研修も 「スポーツビジネス」を学ぶ
大谷翔平選手をはじめ、海外で活躍する日本人アスリートの大型契約が話題になる昨今。また日本国内では、バスケットボールやサッカーなど、地域密着型のスポーツが街の活性化につながるというメリットも注目されています。スポーツビジネスへの関心が高まるとともに、大学でも研究・教育の対象として取り上げるところが増えてきました。その一つ、中央大学の「スポーツ・ビジネス・プログラム」を紹介します。 【写真】サッカー日本代表の日本代表の田中碧選手を囲んで
スポーツを多様な観点から研究し、大学での学びから実社会での仕事につなげる分野が注目されています。2023年4月には、立教大学にスポーツウエルネス学部が誕生し、武庫川女子大学健康・スポーツ科学部にスポーツマネジメント学科が新設されました。 キャリア形成に直結する実践的な「プログラム科目」を設ける中央大学商学部でも、「スポーツ・ビジネス・プログラム」が人気を集めています。スポーツビジネスに関する諸問題と課題を発見し、その解決策を探るこの取り組み。スポーツクラブのフロントスタッフやスポンサー企業とコミュニケーションを図りながら学ぶのも特徴です。将来のビジネスシーンに必要なスキルやマインドを学べること、サッカーのブンデスリーガ(ドイツ)でスポーツビジネスの実地研修プログラムを1週間にわたって体験できることなどから、受講を希望する学生が増えています。プログラムの当初から携わる渡辺岳夫教授は、立ち上げの経緯を次のように説明します。 「私がスポーツビジネスの授業を最初に担当したのは2015年です。当時はPBL(Project Based Learning)型授業の重要性が高まっており、中央大学でも学生の関心が高い分野で課題解決型の学習を進めていくことになりました。そこで4年間の試行錯誤を経て、スポーツビジネスにどっぷり浸かって学ぶ、唯一無二のプログラムをつくりました」 まず題材にするのは、日本国内のサッカークラブです。大学が提携する試合について、スタジアムグルメや広報、当日のイベントなどを企画し、集客を行います。この学習の狙いは、単なる利潤追求ではなく、地域に密着し、課題を解決する視点を身につけることです。 「海外クラブやJリーグのチームは地域に根差した経営が前提なので、当然、地域の特性を理解したうえでのマネジメントが求められます。PBLに加え、授業ではそうした因果関係も意識して伝えるようにしています」(渡辺教授) 年間20クラブの担当者を招いて行われる講演では、サッカーのみならず、横浜DeNAベイスターズなど野球チームの担当者も講師を務めます。こうして得たリアルな知識と経験の集大成として、学生たちはいよいよドイツへ向かいます。ただし、ブンデスリーガでのインターンシップに参加するには、必修科目をすべて受講したうえで、高倍率の選抜を通過しなければなりません。渡辺教授は「22年度も23年度も、10人の枠に30人ほどの応募がありました。学生の熱意に応えるため、こちらも真剣に面接しました」と振り返ります。