島根スサノオマジックで4シーズン目の開幕を迎えるニック・ケイ「愛情を示してくれる人たちのために全力を尽くしたい」
「まずは日々努力しながら成長していきたい」
この夏にケイは32歳になったが、身体的な衰えは感じさせない。パリオリンピックでもオーストラリア代表の主力として攻守を支える堅実なパフォーマンスを見せた。オーストラリア代表は『死のグループ』を突破して決勝トーナメントに進出したものの、準々決勝で延長の末にセルビアに敗れている。「チームは高い目標を掲げていたし、僕個人も同じような目標があったから、望むような結果を残せなかったのは悔しい」とケイは語る。 彼がマッチアップしたのは世界のスーパースターたちだ。特にセルビア戦ではNBAで2度のMVPを受賞しているニコラ・ヨキッチと渡り合った。「僕はヨキッチが好きで、素晴らしい選手だと評価している」と彼は言う。「実際にマッチアップすると非常にタフで、自分の好きなスポットに自由自在に行ける感じだった。最後にステップバックのシュートを決められたのがすごく心残りで、当分の間は忘れられないだろうね」 彼はパリオリンピックを終えると2週間は完全にバスケから離れて心と身体をリラックスさせ、Bリーグでの新たなシーズンに向けた準備に入った。「まだコンディションは整えている段階だけど、自分の心に火をつけてどんどんコンディションを上げて仕上げていくつもりだ」 東京オリンピックが終わった2021年に日本にやって来た彼は、この3年間でBリーグと日本バスケのレベルが上がっていくのを肌で感じてきた。「観客数も増えて、僕たちのホームゲームはほぼ毎試合が満員だ」 「日本のバスケの成長はただ外国籍選手によってもたらされているのではなく、日本人選手たちもレベルアップしている。国際大会で見ていても、日本の頑張りは明らかだよね。そのことに僕個人も興奮しているし、その中でバスケができることをうれしく思っている」 彼が来てからの島根は常にタイトル争いのできるポテンシャルを持っているが、いまだ優勝には手が届いていない。ここ2年は琉球ゴールデンキングス、広島ドラゴンフライズと地方のクラブの初優勝が続いており、島根はそれに続こうとしている。ケイもまた、勝つことに意欲を燃やす。「今シーズンはメンバーが大きく変わり、戦い方も大きく変わる。そこでたくさんの課題が出てくるし、今は試行錯誤の段階。このままでは優勝争いは語れないけど、まずは日々努力しながら成長していきたい。それが後になって優勝という結果に繋がればうれしいね」