【解説】災害ボランティアの注意点 支援団体“被災者の迷惑さけて”
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能登半島地震の被害状況が少しずつ明らかになってくるなか、今後、必要とされるのが「ボランティアの力」です。阪神・淡路大震災以降、数々の被災地でボランティア活動を行ってきた、ピースボート災害支援センター・代表理事の山本隆さんに、ボランティアとして現地に行く場合の注意点などを聞きました。
■重要なのは「被災者の役に立つこと」と「自分の安全を確保すること」
藤井貴彦キャスター 「いまは、ボランティア活動は個人では入らず、準備をしてもらいたい時期だと思うのですが、今後、ボランティア活動をしたいという人は、どんな点に注意をしたらよいのでしょうか」 ピースボート災害支援センター 山本隆代表理事(様々な被災地でボランティアを行う) 「もちろん、さまざまな注意事項があると思いますが、現地で活動するにあたって一番重要なことは、当然、『被災者の役に立つ』ということ。もう1つ重要なのは、『自分の安全を確保する』ことだと思っています」
■災害ボランティアの「3つの心構え」
藤井キャスター 「そこで、『ボランティアの心構え』ということで、次の3つをあげていただきました。 ●自分の安全確保 ●その場で必要なことをやる ●“待ち時間”を想定 ◇ まず、「自分の安全確保」とは、どういうことでしょうか」 山本代表理事 「やっぱり被災地ですので、まだ余震も続いています。余震が続くようななかでボランティアに入るというのは、なかなか難しいことです。 けれど、もし余震がなかったとしても、倒壊家屋があったり、その家屋の清掃をしたりするときに、自分の安全を確保できないと、たとえばケガをしてしまって、そこで病院のリソースを使ってしまうみたいなことが起こると、何のために行ってるのかわかりません。 “自分の安全をまず確保”して、ボランティア活動をするということが重要です」 ◇ 藤井キャスター 「続いて2つ目ですが、『その場で必要なことをやる』というのは、どういうことでしょうか」 山本代表理事 「これは、災害ボランティアというと、たとえば家屋の清掃や荷物の運び出しといった、いわゆる肉体系(肉体労働系)の活動をイメージされる方が多いかもしれませんが、それ以外にもさまざまな活動があります。 たとえば、『ボランティアをしたい』という方を受け付けるというのも、ボランティアがやっていたりします。ボランティアを受け入れる『災害ボランティアセンター』という機関があるのですが、そこで働いている方は被災者なんです。地元の社会福祉協議会の方がやられているので、そういった地元の方々を助ける“運営側にまわる”というのも含めて、さまざまな活動があります。そういったさまざまな活動を、その場その場で考えてやっていく、ということになると思います」 藤井キャスター 「つまり、体を使って力仕事をするばかりがボランティアじゃなくて、ボランティアの皆さんがボランティアをしやすいように活動することも、ボランティアの1つだということですね」 ◇ 藤井キャスター 「そして3つ目ですが、『待ち時間を想定』というのは、どういうことでしょう?」 山本代表理事 「『災害ボランティアセンター』で受け付けが開始されて、『がんばるぞ』と思って、たくさんのボランティアが来られたとしたら、なかなか仕事の割り振りがされなかったり、ちょっと待たなくてはならないことがあったり。 “思い”だけが先行して、自分の思っていたようにいかないことがいろいろあるんです。 ちょっと待つ時間がでたときに、もめることがあるので。被災地の中でやっているということで、なかなか思いどおりにならないことがけっこうあって、それが『時間』というのが一番わかりやすい、ということです」 藤井キャスター 「もう、みんな『貢献したい』と思ってボランティア活動をされていますから、“もっと仕事したいんだ”ということ(気持ち)が先走ってしまって、イライラされている方も多いと聞きます」 山本代表理事 「もちろん、いろんなことをぜひやっていただきたいと思うんですけれども、逆にいえば、ボランティアの活動というのは長い期間になるので、その1日だけじゃなくて、長い目で見たなかで活動をしていく、ということが重要かなと思います」