平泳世界記録保持者、山口、敗戦の意味
東洋大の同級生 荻野に刺激
そして山口もレース後、「この半年間、僕は練習でもレースでもすごい苦しんできたけど、その時間は無駄ではなかったと思う」と話す。 そんな山口には、強力な助っ人がいる。所属する東洋大の寮で同室の同級生・萩野公介だ。今回個人6種目に出場し、5種目終了時点ですべてで決勝へ進出し、2個の銀メダルを手にしている。山口が100m予選20位で敗退した競泳初日、萩野は国際大会初の400m自由形で銀メダルを獲得して快進撃の口火をきった。それが山口の心にも火をつけたはずだ。厳しい状況ながらも200mで決勝進出を果たせたのも、 「あいつがやるなら俺も」と気持ちを掻き立てられたからだろう。 平井コーチは「五輪王者が今大会で大会記録を出しても、それより速い記録をあいつはもっているんですよ」と笑う。 その記録をいかにして自分自身が信じられる記録にしていくかが復活へのカギだ。その道を歩み始める山口の第一歩が、世界選手権7位という結果であり、2分9秒57というタイムなのだ。 (文責・折山淑美/スポーツライター)